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日本茶セミナーへの情熱と思い|日本茶インストラクター・坂上克仁インタビュー|1899 CHACHACHA BLOG

2023/02/04 一服のお茶のような話 濱田裕章

日本茶セミナーへの情熱と思い|日本茶インストラクター・坂上克仁インタビュー|1899 CHACHACHA BLOG

日本茶セミナーへの情熱と思い

日本茶セミナー「1899ティーカレッジ」。そのティーカレッジを企画・講師を担当している1899の日本茶インストラクター・坂上克仁に、昨年の振り返りと2023年の展望について聞きました。坂上のティーカレッジに対する熱い思いをお届けします。

2021年はオンライン開催だった1899ティーカレッジを、2022年は店舗開催に戻しました。2022年の活動を終えて、どのような一年でしたか。

コロナ前までは10名程度の規模で開催していたものを、感染症対策の一環で5名を定員にして開催してきました。これによって、1899とお客様の距離は近づけた時間となり、コミュニケーションもしっかりとれたことが新しい発見でした。苦労した、気を遣った点としては、急須や茶葉などの備品等を共有しづらい環境でしたので、1名様ずつ準備してきたことが挙げられます。一年通して感染者数の波はあったものの、安定してお客様にお越しいただけたので、今はホッとしています。

また2022年は、今まで1899として取り組んだことがないテーマばかりだったので、「挑戦」の年であったと言えます。これまでのテーマは、ひとつの茶種に絞ったものが多かったですが、体験要素も増やしたり、食事とお茶を合わせるなどの企画を行ってきました。これらは初めての取り組みでした。

さらに1899主催のティーカレッジとは別に、地域の学生との関わりや、行政主催の日本茶セミナーの講師を担当させていただいたりなど、これまでのティーカレッジの成果を認めていただく機会をいただいたことも記憶に残っています。

久しぶりの企画の段階でお客様に集まっていただけるか不安もあったと思いますが、いかがでしたか。

当日キャンセルはあったものの、予約は全ての回が満員となり、大変ありがたく感じております。この場を借りて、改めて参加いただいた方々に御礼を申し上げたいです。
4月、5月は新規のお客様が多かったですが、6月以降はリピーターの方々も多くご参加いただけるようになりました。これまでは、年に2回同じテーマを採用することもありましたが、いつ参加いただいても新鮮で楽しめるようにテーマを工夫してきたつもりです。逆に新規の方々でも、深堀りしたテーマのティーカレッジに参加いただけた印象があり、嬉しく感じてます。

また少しでもティーカレッジに参加いただけるキッカケを作りたいと考えていました。朝活であれば朝食付き、後発酵茶の時にはスイーツをつけるなどです。これらの回の時は、参加理由を伺うと「お茶を使ったスイーツが美味しそうだったから」という人もいらっしゃいました。お茶を学ぶティーカレッジですが、お茶以外のものが入口でも良いと思っています。お茶のあるライフスタイルと出会えるキッカケを作れれば、ティーカレッジは十分だと思っています。

全ての回が満員とのことですが、その要因は何だと思いますか。特に意識したことはなんでしょう。4月から「お茶の淹れ方」「ハイティー」「朝活ティーカレッジ」「狭山での茶摘み体験」「お茶の飲み比べ」「発酵茶」と様々な企画を行ってきました。このあたりの企画背景を含めてお願いします。

ひとつずつご紹介していくと、「お茶の淹れ方」は、ティーカレッジ、またその他の日本茶セミナーでも定番の企画で、初回は安定したテーマのものを選定しました。その上で、翌月から色々と試行錯誤しました。
ハイティーについては、一般的に「アフタヌーンティー」という言葉は認知度が高く、楽しんでいる人も多いと思います。そのような中で、お茶文化を世界的にみるとスイーツだけでなく、食事と楽しむ世界観があります。これをアフタヌーンティーと比較しながら紹介したらどうか。この海外のお茶文化を、和食と日本茶で紹介したらどうか。そう感じたんです。実際に参加いただいた方々には、「アフタヌーンティーは知っていたけどハイティーは初めて」、「お茶と合わせた食事が美味しい」と新しい発見を提供できたと思っています。また、新茶の時期ということもありペアリングと、新茶のアレンジレシピも紹介できたのが良かったと感じています。
結果的にレストラン1899お茶の水の商品化にもつながり、良い機会になったのではないかと思っています。
「朝活」については、いつも18時からの開催だったので、早い時間帯での開催ができないかと考えたのがキッカケでした。まだ在宅ワーク推奨されていた時期だったので、丁寧な暮らしを心がけることを見直している人が多くなっているという印象がありました。朝しっかり起きて、お茶を飲む、お茶と共に過ごす健康な生活の見直しの提案をしたいと思い、これらの話を生産者の方と一緒にしている中で実現しました。

「茶摘み」は過去約5回ほど開催していた定番の企画だったため、リピーターの方の参加も鑑み、新茶でなく、夏の時期に、発酵茶(紅茶)をテーマに開催をしました。「お茶の飲み比べ」も定番の企画でしたが、内容を少し専門的にして、玉露と煎茶を作る工程で出てくる部位を集めて、それぞれの飲み比べとしました。これは「朝活」の時に、顧客からのリクエストを実現させたもので、粉茶、茎茶、芽茶、あたま(大型の葉)のお茶の飲み比べです。飲み比べと共に製造工程にも触れていくので、製造についての裏側の魅力も伝えることができたと思います。リピーターの方々にも支えられている実感もあったので、結構専門的な内容になりましたが、受け入れてもらえると確信していました。

ありがとうございます。その中で、直近では番茶、後発酵茶をテーマにしてきました。10月は「美作番茶」、11月は「石鎚黒茶」、そして今月は「碁石茶」です。番茶、後発酵茶の企画についてはどのような思いがありますか。

通常、お茶が好きな方でも、普段は出会えないような珍しいタイプのお茶、地域独自の製造方法を持っているお茶を紹介したいと思っており、そのような中で、番茶、後発酵茶というカテゴリにたどり着きました。
また、当初は秋冬の時期になれば、過去に開催していたような20~30名規模のティーカレッジ開催ができるのでは期待しており、2~3時間かけて、じっくりとこのテーマを深堀り、ご紹介したいと思っていました。しかしそれが叶わなかったため、産地を分割し、開催回数を分けて紹介することになりました。

実際に自分自身の目で見なければと思い、現地にも行き、取材、体験してきました。他のテーマに加えて、それぞれの地域、製造方法、器具、畑、気候がもとになっているお茶のため、書籍で学ぶだけでは不十分です。直接現地に行って、生産者の方々と対話できたこともあり、彼らの声を届けたいという想いも強くなりました。1899が、それぞれの産地とお客様をつなぐことができるような時間になればと思って開催しました。

強い思いが詰まっていますね。

4月から新年度を迎えます。1899が立ち上がってから10年目の年です。これまでの経験を踏まえ、2023年はどのようなティーカレッジを企画していきますか。

これまで毎年手探りだった印象があります。開催手法、企画テーマ、様々なものに取り組んできましたが、今年度でそれらをまとめてひとつの安定した形ができたのでないかと思っています。ティーカレッジにとって、規模や開催頻度が特にちょうど良いかたちであると感じており、非常に手応えを感じています。うまくいかなかった年もあった中で、やっとここまできました。
いままで参加いただいた方にも継続して参加いただきたいので、さらに新たなテーマに挑戦していきたいと思っています。2022年度は体験要素を多く盛り込んできて、お客様にも喜んでもらえたので、レストラン、ホテルだけでは体験できない、1899ティーカレッジだからこそ体験できる要素を含めて企画していきます。コロナ次第ですが、もう少し規模の大きいティーカレッジも再開できればと期待しています。これからもティーカレッジを楽しみにしていてください。

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