なぜ夏に麦茶を飲む?日本中に広まった理由と歴史
「夏のお茶」と言えば、「麦茶」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
「茶」という文字がついているものの、いわゆる緑茶の茶葉で淹れるお茶とは別物ですが、夏に飲むお茶としては、日本の代表格の麦茶。
小さなお子さんから大人まで飲める、まさに国民的飲料と言っても過言ではありません。
私の麦茶の思い出は、学生時代の部活で、氷をたくさん詰めたウォータージャグ(給水タンク)に入った麦茶です。
あなたの麦茶の思い出はなんですか??
しかし、なぜ麦茶は、これほど普及しているのでしょうか。
今回は、そんな麦茶を深掘りします!
麦茶の起源と広まった背景

麦茶の原料は「麦」ですが、正確には「大麦」だそうです。
大麦は、現代は、麦ごはん、リゾット、サムゲタンなど、様々な料理で登場する食材ですが、人類とのかかわりが非常に古い穀物で、およそ1万3千年前、現在のイランやイラク、チグリス・ユーフラテス川という西アジアの流域など、古代文明の発祥地で栽培されていたことが知られています。
日本には、縄文時代の終わり頃から弥生時代にかけて、大麦が伝わったと考えられているようです。
当時の人々は、大麦をそのまま食べるのではなく、炒った麦を水に浸したり、煮出したりして利用していました。こうした飲み方が、現在の麦茶の原型になったともいわれています。
つまり麦茶の歴史は縄文時代から、、、。
もしかしたら日本最古の飲料なのではなのかもしれません。
平安時代
平安時代初期に作られた日本最古の辞書と言われる『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』には、
「米や麦を炒って粉にし、湯や水に溶かして飲む」
という記述が残されているそうです。現在の麦茶とは異なりますが、煎った麦の香ばしさを楽しむ飲み物として、すでにその文化が存在していたことがうかがえます。西暦800年前後なので、1200年以上も昔の話です。
戦国時代
すでに日本で古くから馴染みのあることがわかりますが、戦国時代には、庶民の間で「麦こがし」がお茶の代わりとして飲まれていたそうです。1587年、豊臣秀吉が開催した北野大茶会の記録には、茶葉がなくても「こがし」で構わないという記述があるそうで、煎った麦が日常の飲み物として広く親しまれていたことがわかります。この当時は、茶葉は高価で貴重なものだったそうなので、庶民はお茶をなかなか飲むことができなかったようですね。
江戸時代
江戸時代になると、麦茶は「麦湯(むぎゆ)」の名で庶民の飲み物として定着。1697年に刊行された食物辞典『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』には、炒った大麦を粉にして冷水に溶いて飲む様子が記されており、夏の飲み物として楽しまれていたことがわかります。
さらに江戸後期になると、町には「麦湯」と書かれた行燈を掲げる麦湯店が登場。寺社の門前や街道沿いには縁台が並べられ、人々は夕涼みをしながら麦湯を味わったそうです。手頃な価格で飲めることもあり、麦湯は庶民の夏の楽しみとして広く親しまれるようになったのです。
明治時代以降
明治時代以降は一般家庭にも広まり、戦後の冷蔵庫の普及によって、やかんで煮出して冷やした麦茶が夏の定番に。現在、私たちが当たり前のように飲んでいる冷たい麦茶は、古代から続く歴史と、江戸文化、そして何よりも先人たちの知恵の中から生まれてきた飲み物なのです。
煎茶が広まったのが江戸時代と言われているので、麦茶は、緑茶以上の文化的な飲み物、と言っても過言ではないのでしょうか。
なぜ国民的な飲み物に?

夏には、麦茶以外にもジュースや炭酸飲料、スポーツドリンク、アイスコーヒーなど、さまざまな冷たい飲み物があります。それにもかかわらず、なぜ麦茶は多くの方に親しまれる「日本の夏の定番」となったのでしょうか。
なかなか明確な根拠は見つけられませんでしたが、
理由の一つは、「誰でも気軽に飲めるお茶」だったこと。
江戸時代、緑茶の茶葉は、まだ庶民にとっては安価なものではありませんでした。一方、大麦は全国で広く栽培されており、手に入りやすい身近な農作物だったそうです。炒った大麦を煮出すだけで作れる麦茶は、手頃で親しみやすい飲み物として、多くの人々の暮らしに根付いていきました。
また、香ばしくすっきりとした味わいは、暑い日本の夏にもぴったりでした。江戸時代には「麦湯店」が町中に並び、人々は夕涼みをしながら麦茶を楽しんでいたことも先ほどの通りです。
さらに、上述した通り、戦後の冷蔵庫の普及。「やかんで煮出して冷やす麦茶」が夏の定番になりました。家庭で手軽に作ることができ、家族みんなで楽しめる飲み物として、その文化は全国へと広がっていったそうです。
そして最後は、麦茶は食事の味を邪魔しないことです。いわゆる食中茶として飲めることです。香ばしい風味がありながら主張しすぎず、和食をはじめさまざまな料理によく合います。そのため、食卓に自然と並ぶ「家庭のお茶」として定着しました。
長い歴史の中で、手に入りやすさ、飲みやすさ、暮らしとの相性の良さが積み重なり、麦茶は日本人にとって「夏になれば飲みたくなる一杯」となったのです。
夏の定番、麦茶の魅力を再発見!麦茶ネタ20選
普段何気なく飲んでいる麦茶にも、実は古くから受け継がれてきた歴史と、日本人の暮らしの知恵が息づいていることがわかりました。
1899 CHACHACHAブログでは、このほかにも麦茶にまつわる記事を公開しています。ぜひあわせてご覧いただき、奥深い麦茶の世界をお楽しみください。


