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島根県・松江のお茶事情

2026.03.21

濱田裕章

島根県・松江のお茶事情

今回は各地のお茶文化を学ぶために、島根県松江市に行ってきました!
最近では連続テレビ小説「ばけばけ」の舞台になった場所としても話題です。
この機会に改めて松江のお茶文化を感じていただければと思います。

島根県・松江にGO!

島根県松江市は、中国地方の北側に位置する街です。県庁所在地でありながら、東京や大阪と比べると知名度は決して高くなく、「名前は聞いたことがあるけれど、正直どこにあるのかわからない」という方も少なくないかもしれません。
松江市は、日本海に面した島根県の東部にあり、出雲大社で知られる出雲地方と、鳥取県方面へ続く山陰地方の要所にあたります。
羽田から1時間20分で着きました!

大きな特徴は、海・湖・川に囲まれた水の都であること。実際に街を歩くと、川にかかる橋の風景がとても綺麗な場所でした。時間の流れがゆるやかに感じられる土地でもあります。

また松江は、江戸時代に城下町として整備された歴史を持つ街です。現在も市の中心部には松江城をはじめとする城下町の構造が色濃く残り、タイムスリップした気分になりました。

島根県の松江市と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「和菓子の街」というイメージではないでしょうか。 しかし、その背景を辿っていくと、必ず行き着くのが「お茶」の存在。

城下町・松江と茶の湯文化の始まり

松江のお茶文化を語るうえで欠かせない人物が、江戸時代の大名茶人・松平不昧(まつだいら・ふまい)です。不昧公は、単に茶の湯を嗜んだ大名ではありません。
彼は、茶の湯を通じて城下町全体の文化水準を高めた、いわば「文化の設計者」。 不昧公が重視したのは、豪華さや権威ではなく、「用の美」「簡素」「調和」といった精神性です。この価値観は、武家だけでなく町人にも広がり、松江では茶の湯が特別な儀式ではなく、教養や人間関係を育む文化として根付いていきたとのことです。

お土産屋さんに行くと、 不昧公が好んだとされるお菓子、また不昧公の名を冠したお茶が販売されていました。

なぜ抹茶文化が日常に広がったのか

多くの地域では、抹茶は「非日常」の存在ではないかと思います。
抹茶=茶道。
ちょっと敷居高い、みたいな。
しかし松江では、抹茶文化が比較的身近な存在として受け継がれてきたそうです。 その理由は、茶の湯が「格式」ではなく「生活の質」を高めるものとして捉えられてきたから。 茶を点てる行為は、自分と向き合う時間であり、相手を思いやる所作でもあります。
松江の人々にとってお茶は、忙しさを忘れ、心を整えるための時間だったのです。
この感覚が、代々の家庭や地域社会の中で自然に共有されてきました。

そしてここからは今回訪れたお茶屋さんに聞いたお話。
現在の松江では、日常的に抹茶を飲む方が多く、10時と14時に自身で抹茶を点てて飲む習慣があるだそうです。
スーパーには抹茶と並んで茶筅(ちゃせん・抹茶を点てる道具)が置かれているのも自然な風景で、ポットのお湯を使って手軽に楽しんでいるとのこと。
お土産屋さんにも和菓子と共に抹茶や煎茶が置かれており、この地域に馴染んでいる様子がうかがえました。
最近では急須を使う人が少なくなってきた、という話をよく聞きますが、松江ではまだまだ抹茶が日常に溶け込んでいるようです。
さらに自宅敷地内に茶室を有している家も珍しくないようで、お茶を介して人と人が向き合う時間を大切にする、松江ならではの美しい生活文化だと感じました。

和菓子の街・松江

松江の和菓子は全国的に有名です。
実際、松江には全国的にも評価の高い和菓子文化があります。
松江菓子協会のHPを見ると11店舗も。ひとつの市にこんなにあるのも珍しいのでは。 私も今回歩きながら和菓子屋さんをハシゴしましたが、歩ける距離にいくつも店舗があるのが印象的でした。 

そんな松江の和菓子は、文化的な位置づけとしては常に「お茶を引き立てる存在」だったそう。 甘さは控えめで、見た目や季節感が重視されるのも、茶の湯との調和を前提としているから。
和菓子は目で味わい、その和菓子の生まれた背景を感じ、そのうえでお茶とともに完成する。「共にあることで価値が生まれる」という松江らしい美意識が表れています。

松江のお茶文化が教えてくれること

松江のお茶文化が私たちに教えてくれるのは、効率やスピードとは異なる価値観。
立ち止まり、整え、相手を思う。
そうした行為が、街の文化として長く受け継がれてきました。
街を歩いていると、普段いる東京とは違う、静かなゆったりとした時間を過ごせました。

松江を訪れるとき、ぜひ和菓子だけでなく、その背後にある「お茶の時間」に目を向けてみてはいかがでしょうか。
そこには、城下町が育んできた静かで豊かな日本茶文化が、今も息づいています。