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正しい茶葉の保管方法〜開封後の期限は?~

2025.12.06

和田麻由

正しい茶葉の保管方法〜開封後の期限は?~

買ったときは香りがよかったのに、いつの間にか風味が落ちた…
そんな経験はありませんか?
実は、茶葉の保管方法ひとつで味と香りの寿命が大きく変わります。

今回は、自宅で簡単にできる「正しい保存のコツ」を紹介します!

正しい茶葉の保管とは?

お茶のおいしさを左右するのは、淹れ方や茶葉の品質だけではありません。「保管方法」も大きなポイントです。茶葉はデリケートで、酸素・湿気・光・高温によって劣化が進んでしまいます。
正しく保管をすることで、茶葉本来の香りや風味を長く楽しむことができます。

茶葉が劣化する原因

茶葉の保存で気を付けたいのは、次の4つのポイントです。

①酸化(空気による劣化)

茶葉に含まれるカテキンやビタミンC、香り成分は空気に触れると酸化します。
この酸化によって、
・緑鮮やかな色がくすんでしまう
・爽やかな香りが飛んでしまう
・渋みや苦味が強くなる
などの変化が起こります。

開封後、空気に触れる保管だと、どんどん酸化が進み、茶葉の劣化が進んでしまいます。

②湿気(湿度による劣化)

茶葉は非常に湿気をすいやすい性質があります。
茶葉が湿気を吸った状態になってしまうと、
・香りが飛んでしまう
・風味がこもったような味わいになる
・場合によっては茶葉にカビが生えてしまう
などが起こる場合があります。

湿度の高い季節やキッチン回りなど湿気を吸いやすい環境にある茶葉の保管には注意が必要です。

③光(紫外線による劣化)

茶葉は光にも弱く、直射日光はもちろん、蛍光灯の光でも品質が落ちることがあります。
特に煎茶や抹茶の緑色が光によって退色するのはイメージがつきやすいですよね。
光に当たると、
・緑色のクロロフィルという色素が分解され、茶色っぽくなる
・香り成分が変化する
などの“光酸化”がおきます。

茶葉の保管を透明の容器に入れて、直射日光や蛍光灯があたる場所に置いていると、光によって劣化が進んでしまいます。

④温度変化

高温下に置かれた茶葉は、香りが飛びやすく、酸化反応も進んでしまいます。また冷蔵庫から室温への出し入れで温度差が大きいと袋内部に結露が生じ、湿気の原因にもつながります。

適切な温度での保管が茶葉を劣化させないポイントの一つです。

その他にも、たとえ良い環境下で保管をしていても、保管期間が長いと時間の経過とともに香りは減っていきます。特に、煎茶や抹茶など香りが命のお茶ほど、鮮度の落ちが早い傾向にあるといわれています。

茶葉の保管に適した容器

開封後、茶葉をどのように保管していますか?
容器に詰め替えて保管、購入した茶葉の袋を丸めて輪ゴムで留めて保管、ジップロックなどの密閉できる袋に入れて保管、など様々な保管方法がありますが、茶葉の美味しさを長持ちさせるには、茶葉の劣化要因を防ぐ保管方法が大切になってきます。

容器選びのポイント① 「密閉性」

空気の侵入を防ぐことができる(酸化による劣化を防ぐ)。内蓋付きの茶筒などがピッタリです。

 

容器選びのポイント② 「遮光性」

光を通さない素材を選ぶ(光による劣化を防ぐ)。遮光性のある素材や光を通しにくい素材の容器がおすすめです。

 

容器選びのポイント③ 「防湿性」

乾燥剤を一緒に入れて保管するとより安心です(湿気による劣化を防ぐ)。

容器選びの3つの条件を満たしている茶筒が特におすすめです。茶筒は、密閉・遮光の両面で優れており、毎日の保管に最適です。

茶筒以外の保管方法は?

茶筒がご自宅にない場合にも、工夫をすれば茶葉の劣化を防ぐことができます。
例えば、購入した茶葉の袋のまま保存する際は、ジップロックなどの密閉できる袋に入れて空気を抜いた状態で保存するのがよいでしょう。このとき、乾燥剤も一緒にいれるとなおGOODです。

その他、透明のガラス製やプラスチック製であっても密閉性のある容器であれば、光にあたらない場所に保存しておけば光による劣化を防ぐことができます。

茶葉の保存場所

保存容器のほかにも、保存環境によって風味や香りが大きく変わってしまいます。茶葉が劣化する原因である「光」「温度」「湿気」を防ぐことがポイントです。
茶葉を保存する際は、次の条件を満たす場所が理想的です。

直射日光が当たらない場所

窓辺など日が当たる場所を避け、戸棚の中や引き出しの中などがおすすめです。

 

温度変化が少ない場所

キッチンの熱源の近くだと温度が高くなってしまうため、熱源から離れた場所がよいでしょう。20℃以下の場所が理想的です。

 

湿気が少ない場所

炊飯器の近くやシンクの近くは避けたほうがよいでしょう。

茶葉の温度管理

茶葉の保存は、基本的に高温多湿を避けた常温保存が推奨されています。ただし、季節や保存期間によっては、冷蔵保存や冷凍保存を使い分けることがおすすめと言われています。

 

常温保存(短期間向け)

開封後1か月程度で飲み切る場合は、常温保存でも十分。適切な保存容器にいれ、涼しく乾いた場所で保管しましょう。
夏場の室温が高い時期は冷蔵保存のほうがよいでしょう。冬場であっても暖房の近くは避けましょう。

 

冷蔵保存(中~長期間向け)

2か月以上、長期間保存したい場合には、冷蔵庫の野菜室がおすすめです。
冷蔵保存する場合には、密閉容器に入れ、さらにジップロックなどの密閉できる袋で二重包装した状態で保管するとよいでしょう。また、冷蔵保存していた茶葉を使う際には、冷蔵庫からすぐに開封せず(結露防止)、封を閉じたまま常温に戻してから開封して使うようにしましょう。

冷蔵保存は、茶葉の酸化をゆるやかにし、香りの揮発を抑える効果があるといわれています。
特に煎茶や玉露、抹茶は低温保管することで香りを保ち、酸化を抑えるため冷蔵保管がおすすめとされています。

 

冷凍保存(長期間向け)

開封前の茶葉を半年以上保存する場合には、冷凍保存も可能です。冷凍することで茶葉の酸化がほとんど進まずに保管することができます。
ただし、開封後の茶葉を冷凍保存し、頻繁に出し入れをすると温度変化が生じたり、結露が発生することになり、逆に劣化の原因になります。
冷凍保存する場合は、未開封の茶葉にし、解凍は一度きりで解凍と冷凍は繰り返さない方がよいでしょう。

 

冷蔵・冷凍保存するときの注意点

「茶葉の保管は常温にしてください」と聞いたことはありませんか?
それは、冷蔵・冷凍保存は「結露」が最大のリスクであるためです。茶葉にとって湿気は劣化を進めてしまう最大の敵です。
冷蔵・冷凍保存 ⇒ 温度差でパッケージ内に結露が発生 ⇒ 茶葉に水分が付着 ⇒ 劣化が急速に進む、という状況になるため、開封後1か月程度で消費できる見込みがあれば、無理に冷蔵・冷凍庫に入れて結露のリスクを高めるよりは、常温保存が良い、と言われているようです。
常温・冷蔵・冷凍、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、保存温度を選択していきたいですね。

開封後の茶葉の保存期間

茶葉を開封したら、おいしいうちになるべく早めに使い切ってしまいたいですよね。
煎茶、ほうじ茶、紅茶など様々な茶葉の種類がありますが、開封後1か月以内に消費するのが理想とされています。

ただ、「開封後」といっても、“毎日開け閉めする容器に入れている茶葉”と、“一度開封した後、しばらく開封せずに保管している茶葉”では劣化のスピードが異なります。

茶葉は開け閉めする度に空気に触れて徐々に酸化が進んでしまいます。
例えば日々煎茶を飲む人であれば、1~2週間で飲み切る量を容器に小分けして入れ、残りの茶葉は別で保管しておく、などがおすすめです。

 

保存期間の目安

 

茶葉の種類 開封後の保管期間 《開け閉め多い密閉容器に移し替えた場合》
理想の保管期間
煎茶・玉露 1~2か月 1~2週間程度
ほうじ茶 2~3か月 1か月程度
抹茶 2~3週間 1週間程度
番茶・玄米茶 2~3か月 1か月程度
紅茶 ~3か月 2か月程度

茶葉の種類によって香りや旨味成分が様々で、また保管環境によって劣化スピードも異なりますので、上記を目安にしていただければ幸いです。

なぜ茶葉の種類によって保管期間が異なるのか

茶葉の保管期間は、茶葉の種類や加工方法によって異なります。

 

香気成分の揮発性の違い

煎茶や玉露は、蒸した生葉に近い香り成分を多く含んでおり、揮発性が高いため、開封後は香りが早く飛びます。
 →開封後は早めに消費するのが望ましい 

ほうじ茶は焙煎によって香気成分が安定化しており、紅茶も発酵により香りが固定されるため、煎茶より長く香りを楽しむことができます。
 →開封後の変化はゆるやかで、保管期間が長い

 

カテキンなどポリフェノールの酸化しやすさ

煎茶や玉露は、カテキンなどポリフェノールが多く残っており、酸素に触れると味や色が変化しやすいです。
 →味や色の変化がすぐに分かるため、開封後は早めに消費するのが望ましい

ほうじ茶は高温で焙煎することによってカテキンなどが減少し、紅茶は加工段階で酸化や熱処理が進んでいるため、開封後の酸化は比較的ゆるやかです。
 →酸化による味の変化を受けにくく、保管期間が長い

劣化した茶葉の見極めポイント

開封して時間がさほど経っていない、または、賞味期限内の茶葉であっても、保管状態によって茶葉の劣化が進んでいる可能性もあります。
劣化した茶葉のポイントを押さえて、見極めの参考にしてみてください。

チェック項目 劣化のサイン
香り 爽やかさがなく、湿気ぽく、古紙のようなにおいがする
茶葉の緑がくすみ、茶褐色・黄みがある
旨味や甘味が感じられず、渋みや苦みが強い
お湯を注いだ時 香りが立たない、濁っている

香りが落ちた程度であれば、料理に活用することもできそうですね。ただし、カビ臭や酸っぱい臭いなどがある劣化した茶葉は無理して飲まないことがよさそうです。

保存容器や置き場所を見直すだけで、お茶を、最後の一杯までおいしくたのしめます。
ぜひ、おうちでの保管方法を見直してみてくださいね。

本ブログは、いくつかのウェブサイトや資料を参考に作成しております。保存期間につきましては、あくまで目安としてご参照いただけますと幸いです。

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