夏至に味わう。日本茶の涼やか時間
一年で昼の時間が最も長くなる「夏至（げし）」をご存じでしょうか。2025年の夏至は6月21日の土曜日。太陽の力が一年で最も強まる日であり、「二十四節気（にじゅうしせっき）」の一つとして、古くから日本人の暮らしに密接に関わってきました。
今回は、「夏至とはどういう意味か」「夏至の時期に食べるもの」といった基本的な知識に加え、夏至の時期に味わうお茶についても考えてみたいと思います。
節目の季節に、お茶を通じて心と体を整えるヒントをお届けします。
夏至とは？一年で一番昼が長い日
「夏至」は、太陽が最も高く昇り、一年で一番昼の時間が長い日です。二十四節気の一つで、梅雨の時期と重なることが多く、実際には日差しを強く感じにくい年もありますが、太陽の高さや時間という観点では“陽の極み”を迎えるタイミングです。
夏至の時期と日付は毎年変わる？
夏至の日付は毎年変動します。夏至や立春、冬至といった暦の二十四節気は、太陽と地球の位置関係で決まり、この暦は国立天文台が決めています。夏至は立春と秋分の中間にあたります。うるう年などの都合もあり年によって日付は変わり、2025年の夏至は、6月21日(土)になります。
夏至に食べるものは？
日本各地には、夏至に特別な食べ物をいただく風習があります。
例えば、関西では「たこ」を食べる習慣があります。タコの足のように、稲の根がしっかり張るよう願う農家の風習に由来しているそうです。
奈良県では「小麦餅」を食べる地域も。
一部地域では「うどん」や「小豆粥」が夏至の食として親しまれています。
どれも、季節の節目に健康や豊作を祈る食文化が根づいているそうです。
夏至とお茶
夏至は「陽」が極まる日。これを境に、少しずつ「陰」の気が増していくと言われています。東洋思想では、“陽”と“陰”のバランスが心身の健康に影響するとされており、夏至はその切り替わりの大事な節目でもあります。
このタイミングにこそ、日本茶のような“涼”の要素を持つ飲み物がぴったりです。カフェインの利尿作用や冷たい飲み方によっては、身体の余分な熱を冷ますことを通して、心を落ち着かせる効果が期待できます。
おすすめの「夏至のお茶」スタイル
夏至からは、蒸し暑さが本格化する時期でもあります。冷たいお茶の出番です。
●水出し緑茶
茶葉を冷水でじっくり浸出することで、カフェインや苦味が抑えられ、旨味が引き立つ一杯に。
氷とともに茶器に注げば、見た目にも涼やかです。
●氷出し茶
氷の上に茶葉をのせてゆっくりと浸出する方法。
ほんの少量でも驚くほど濃厚な旨味が楽しめます。
●ほうじ茶の冷茶
カフェイン控えめで香ばしい風味が魅力。
食事ともよく合い、胃にもやさしい一杯です。
夏至を過ぎるとどうなる？なぜ8月が一番暑いの？
「昼が一番長い＝暑さのピーク」と感じがちですが、実際に最も暑くなるのは例年7月から8月にかけてですよね。
これは「地球の熱が蓄積されてから放出されるまでに時間差がある」ためだそうです。つまり、夏至を過ぎて、しばらくは太陽の熱がたまっていく状態なのです。
一方で、夜が一番長くなるのは「冬至」（2025年は12月22日）。夏至と対になる日として覚えておくと、季節の移ろいがより感じられますね。
夏至に、日本茶という小さな涼を
「夏至」という言葉には、太陽や時間、自然のリズムが込められています。そんな節目にこそ、日本茶の持つ静けさや爽やかさを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
冷たいお茶で、体を内側から整える。そんな“涼やかなお茶時間”が、今年の夏を少しだけ心地よいものにしてくれるかもしれません。
