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【BLOG】“永遠の妖精”の生き方

2019/05/25 ゆるやかな時間の話 森田輝

【BLOG】“永遠の妖精”の生き方

「類稀なる美貌を持ち、四半世紀経った現在でも人々を魅了する、”永遠の妖精”と謳われた女優がいます。そうオードリー・ヘップバーンです」

私が学生のとき、何気なく興味本位で受講していた「西洋演劇論」の女性の教授が、

なんだか楽しげに語っていました。

多分、数いる役者のなかでも、特に彼女のことを好きだったのだと思います。

そんな昔の出来事を、社会人になった今に、ふと思い出しました。

テレビニュースで知ったのですが、

今年の5月9日が、「オードリー・ヘップバーン氏の生誕90周年」だったそうです。

講義では、実際にその演技を鑑賞しようと、

そのまま、オードリーの代表作の一つである映画『Breakfast at Tiffany’s』を見ました。

ご存知の方も多いと思いますが、原作は米国の作家トルーマン・カポーティの小説。

パラマウント社による1961年公開のオードリーが主演の映画です。

舞台は第二次大戦下のニューヨーク。安アパートに住む「駆け出し女優のホリー・ゴライトリー(オードリー・ヘップバーン)」は、将来に大金持ちと結婚することを夢見る。そんなホリーの日課は、ティファニーのショーウィンドウを見ながら、朝食のクロワッサンを食べることだった。しかし、そのホリーに恋したのは、上階に引っ越してきた”売れない作家”のポール(ジョージ・ペパード)。ポールは、ホリーに惹かれるけれど、金と自由に憧れ、型破りな奔放さを持つホリーは別の男に目移りしてしまう・・・。

ちなみに、カポーティの原作小説の翻訳もあります。

新潮文庫 村上春樹 訳 『ティファニーで朝食を』

ジバンシーの黒のドレスを着たオードリーが、ニューヨークでロマンスを演じる。

それだけに注目して見てても、その美貌と演技に「美しいなぁ」と魅了されるのですが、

なによりも、

「戦時中」、「資本主義と共産主義」という舞台設定が根底にあり、

「自由を得たいけれど、居場所がほしい」

「関係を望むけれど、関係を絶ちたい」

「手放したいけれど、所有したい」

そんな複雑で強烈なアンビバレンスを持ったホリーのキャラクターが、

“まだ何者でもなく、揺れていた学生の私”に衝撃的だったことをよく覚えています。

“永遠の妖精”の生き方

話を戻しましょう。

そんなオードリーは、生涯の生き方も美しかったとのこと。

山口 路子 著『オードリー・ヘップバーンの言葉』を引用すると、

“そしてオードリーの美しさは、外見だけではありませんでした。彼女は、世界的スターにありがちな傲慢さから遠くにいる人で、基本的に謙虚で控えめ、なのに強い芯のある人で、静かな、けれど圧倒的な存在感がありました。”

大和書房 山口 路子 著 『オードリー・ヘップバーンの言葉』

私は男ですが、もし私が女性だったらと想像すると、

あの美貌を持っていたら、皆から好意を持たれたら、

少しなりとも”我がまま”になってしまいそうですが・・・ 笑。

そんなことを考えると、本当に芯の強い方に思えます。

最後にオードリーの「人生観と紅茶」にまつわる言葉を。

“When you have nobody you can make a cup of tea for, when nobody needs you, that’s when I think life is over”

紅茶を淹れてあげる大切なひとがいなくなったら、誰もあなたを必要としなくなったら、そのときが人生の終わりだと思う。

とても素敵な言葉で、心に響きます。

繋がりがある人を、大切にすること。

一見して簡単そうに見えるけれども、そこに”気持ち”が無ければ意味をなさない。

そんなように私は思えます。

いままでを振り返ると、

いったい自分はどれだけ他人の繋がりを大切にし、

他人に優しくできたのだろうと、少しだけ心が痛みます。

今後は、

仕事では、同じ職場の仲間へ 、

プライベートでは家族や友人に、

もっと、(自分にできることは少ないけれど)、相手のことを想った行為をしたい。

“永遠の妖精”の生き方にならって、

まずは、紅茶でも淹れてあげようかな、そんなふうに思いました。

P.S.

現実のオードリーのイメージを考えると、『Breakfast at Tiffany’s』のホリー役はミスキャストに思えませんか?当初のホリー役は、マリリン・モンロー氏にオファーがあったそう。しかし、そのオファーが断られたために、オードリーが引き受けたとのこと。なんだか、そこにもオードリーの人柄がわかりますね。