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アメリカとイギリスの“美味しい紅茶の淹れ方”論争|1899 CHACHACHA BLOG

2025/01/18 一服のお茶のような話 古幡祐介

アメリカとイギリスの“美味しい紅茶の淹れ方”論争|1899 CHACHACHA BLOG


アメリカとイギリスの“美味しい紅茶の淹れ方”論争

皆さんは「美味しい紅茶の淹れ方」をめぐってアメリカとイギリスが争っていることをご存知でしょうか?

あるアメリカの科学者が発表した紅茶に関する研究論文が、紅茶の飲み方にこだわりが強いイギリス人の不況を買い、国際論争に発展しているのです!!
…もちろん半分冗談ですが、この冗談の面白い所は両国の公的機関まで公式発表で言及しているところです。

両国にとってどれだけ紅茶の淹れ方にこだわりがあるのかが分かるというものではないでしょうか。

早速、アメリカとイギリスがどんな論争を繰り広げているのか見ていきましょう。


米科学者の紅茶研究「紅茶に塩を…」

アメリカの科学者ミシェル・フランクル教授は、塩には紅茶の苦みを感じさせる受容体をブロックする働きがあるとの研究結果を発表しました。
(参考記事:https://www.bbc.com/japanese/68091928
味を感じない程度のほんのひとつまみの塩を加えるだけで、紅茶の苦味を中和できるのだと主張しています。

これに対してイギリスでは、塩を入れるなんてなんと馬鹿げた発想だ!として批判が相次いでいるそうなのです。
以前のブログでも紹介した通り、アメリカよりも紅茶の歴史の長いイギリス人は「自分たちの方が紅茶の美味しい淹れ方を知っている!」というプライドがありました。そのためイギリス人達は大騒ぎ。この斬新な飲み方について議論が始まりました。


ついにアメリカ大使館も声明を発表

フランクル教授も「自分の研究を中身を見ずに判断したり、偏見を持たないでほしい」としているのですが、議論は白熱。アメリカの研究者宛に大量の問い合わせの電子メールが届いていたりしたそうです。
ついに在ロンドンのアメリカ大使館が外交的に介入する事態(?)にまで発展しました。

「イギリスの国民的飲み物に塩を加えるという、ありえない発想は、アメリカの公式政策では決してありません。そのことを、イギリスの善良な人々に確約したい」とわざわざ声明を発表したのです。
アメリカ大使館公式X
しかし、この文章の一番最後に、またしてもイギリス人の逆鱗に触れる一文がありました。

「アメリカ大使館はこれからも電子レンジで紅茶をいれるという正しい方法を続けます」

アメリカでは電子レンジでお湯を沸かすのは一般的なのだそうですが、イギリスではお湯はやかんで沸かすのが一般的なので、ここでも両国の文化の違いが衝突を生みました。

フランクル教授の意見はアメリカ大使館とは異なり、電子レンジでお湯を沸かすのは健康にもよくないし、味も良くないとしています。紅茶の表面に、抗酸化物質が含まれたあくができてしまうという意見でした。


そもそも争いの始まりは

紅茶をめぐってアメリカとイギリスが争うのはこれが初めてというわけではありません。
以前のブログでもお話しましたが、そもそもアメリカが独立したのも、紅茶で揉めたことが原因でした。
イギリスが紅茶に課した重税に抗議して、船に積んであった茶箱342個をボストン港に投げ捨てるという事件があったのです。
これが火種となりアメリカ独立戦争が始まりましたが、紅茶をめぐる両国の争いもここから始まり、終わっていない(!?)のです。

イギリス人、アメリカ人にとってお茶がそれだけ「生活必需品」である、ということではないでしょうか。

また、2020年のアメリカ独立記念日では、イギリス陸軍公式Xがアメリカに向けてこんな動画をアップしています。
英国陸軍公式X

動画はイギリス陸軍からアメリカの独立記念日のお祝い(?)として、イギリス式の美味しいお茶の淹れ方をレクチャーするものでした。

「完璧な紅茶」を飲むためには電子レンジではいけないとわざわざ言及しています。

イギリスの戦車に紅茶を淹れる為のケトルが標準装備されていると説明されていますが、これには驚きました。

なんでも第二次世界大戦中の英国陸軍は戦場であっても、わざわざ戦車から出てお湯を沸かして「お茶休憩」を取るため、その隙を突かれて襲われることがあったのだとか。その解決の為にケトルが標準装備になったのだそう。

戦車の狭い車内であんなに大きなケトルが必ずあることが合理的とは…絶対に邪魔だろうに…
やはり英国の弱点は「お茶」ですね。

また、ティーバックは「港」ではなく「ティーカップ」に入れましょうと注意しています。
もちろんイギリス式のジョークだと思いますが。

そもそも、アメリカ独立記念日にわざわざ「完璧な紅茶の淹れ方」をアメリカ人に教えてあげようという試みに皮肉を感じますね。


皆さんはいかがでしょうか?

一方、皆さんの意見はいかがでしょうか。
私としては、やかんで沸かしたお湯を使うイギリス流を支持したいところです。

塩を入れたり、お砂糖を入れたり、飲み方は自由に楽しむのがいいと思いますが、
1899で提供しています和紅茶「紅優香」は、その優しい香りとほんのりとした自然な甘味を楽しんでいただく為、なにも入れずにストレートで楽しんでいただくことをおすすめしています。

今回はイギリスとアメリカの紅茶の淹れ方に対する考え方の違いを見ていきました。
両国がいかにお茶が好きなのか伝わる話ではないでしょうか。

また、この騒動から両国の文化の違いと、それをジョークにできる良好な関係も感じますね。