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狭山茶火入れ実演イベントの当日の様子をご紹介|1899 CHACHACHA BLOG

2024/03/02 ゆるやかな時間の話 濱田裕章

狭山茶火入れ実演イベントの当日の様子をご紹介|1899 CHACHACHA BLOG


狭山茶火入れ実演イベントの当日の様子をご紹介

「焙炉」。
皆さん、読み方わかりますか。
読み方は「ほいろ」です。
なかなか馴染みない言葉だと思いますが、焙炉とは、手もみ茶を作るための作業台。木枠に和紙を張り付けた台を、下から加熱しお茶を乾燥させ、仕上げていくための作業台です。

先月、レストラン1899お茶の水では、狭山市・宮野園の宮野圭司氏をお招きし、店内に焙炉を設置し、その場でお茶を仕上げていくイベントを実施。

今回は当日の様子をご紹介します。

狭山伝統の製茶仕上げ

焙炉を使ったお茶の仕上げ工程は、狭山に伝わる伝統の仕上げ工程で「狭山火入れ」と呼ばれています。宮野氏曰く、江戸時代から続くと言われている歴史ある工程です。

お茶が好きな方でも、なかなか焙炉を使った仕上げ工程を見たことがある人は少ないはず。
現在は、お茶の仕上げは機械化が進んでおり、生産性の面でもなかなか焙炉を使っている茶園も少ないのですが、伝統的な技法でもあり、目の前でお茶が仕上がっていく様子を是非見てもらいたい、という宮野氏の強い想いもあり店内で実施いただくことになりました。

当日は立春

開催日は、2月4日、立春です。
暦の上では春の始まり。
この立春は、お茶の生産者の方々にとってはとても重要な意味をもちます。

お茶好きな方であれば聞いたことがあると思いますが立春から数えて八十八日目を「八十八夜」とよび、新茶を摘む時期として末広がりの「八」が二つあることから、縁起が良いとされてきました。
当日宮野氏にお聞きしたところ、長い冬を越えた後の立春から畑作業をする茶園が多いとのことで、宮野氏も立春の日を大切にしているとのこと。

今回は1899でパフォーマンスを見せていただきましたが、これまでも毎年立春の日には焙炉を使って狭山火入れを行ってきたそうです。「春の始まり」として本格的なお茶シーズンに向けた意気込みを表す儀式とも捉えられます。

普段、私たちにとっては立春というキーワードはニュースなどで耳にするものの、特別何かを行ったり考えたりすることが少ないかなという印象がありますが、お茶屋さんにとっては重要な日になるんですね。

店内にあふれるお茶の香り

宮野氏は、お茶を厳選する茶匠でありつつ、日本茶インストラクター、日本茶普及協会茶育インストラクター、全国茶商工業協同組合連合会認定 茶匠 全国手もみ茶振興会 認定教師、Happy Tea Time Creator RE:OCHANOMA project (お茶の間復活プロジェクト) 代表、など多くのフィールドで活躍されているお茶業界の中でも活動的にお茶の魅力を発信されている方です。

そんな宮野氏に焙炉を準備いただき、店の営業とともに、さっそくスタートです。
レストラン1899お茶の水のランチタイムは、多くのお客様にいらっしゃっていただくのですが、この日は事前のイベント告知の影響もあってか早々と満席。11時過ぎにはお店は賑やかな空間となりました。

また当日は海外のお客様もおり、珍しそうにお茶を仕上げていく様子をご覧になっていました。最初は山のようになっているお茶ですが、乾燥させ水分が飛んでいく過程でボリュームが減り、だんだんとかさが減っていきます。

1時間ほどすると店内はお茶の香りであふれます。
私は店を何度か出入りしていたのですが、外から入ってくるとお茶の香りで店内が包まれているのがわかります。
ほうじ茶の香りは、たまにお茶屋さんの前で焙煎機が動いているとふわっと香る機会がありますが、緑茶の香りがここまで広がることはなかなかないのでは。
当日はあいにくの雨天で寒い日だったのですが、焙炉を使っている宮野氏はとても暑そう。何度も「暑い暑い」と言っており、作業への熱が私たちに伝わってきます。

仕上げの段階になってくるとお客様も焙炉の前に集まり、宮野氏からお茶の説明もしていただきました。仕上がったお茶は店内のお客様に試飲いただき、また販売も行いました。封詰めされたお茶は温かく「出来立て」感がわかります。

最後には、当日お越しになれなかった方に向けて、また焙炉を使ったパフォーマンスをしていただけると約束いただきましたので、次の機会も是非楽しみにしてください。