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料理長が語る。おせち料理への想いとこだわり|1899 CHACHACHA BLOG

2022/11/05 茶を食す話 濱田裕章

料理長が語る。おせち料理への想いとこだわり|1899 CHACHACHA BLOG

毎年恒例のおせち料理のオーダー形式食べ放題「おせちブッフェ」。
1899オリジナルのお茶おせち料理をはじめ、20品のおせち料理が食べ放題のお正月イベントです。
店内でのご提供の他、テイクアウトの「1899謹製おせち」も好評です。

今回はレストラン1899お茶の水の店長・料理長である大久保将史におせちブッフェのこだわりや思いについて語ってもらいました。後半にはおせち料理の意味についてもご紹介。

1899でおせちイベントをスタートした背景は

(大久保)おせち料理イベントは、グループホテルの「ホテル龍名館東京」でのスタートから11回目を迎え、レストラン1899お茶の水も開業した翌年のお正月から開催し、今回で9回目を迎えます。老舗旅館を起源とするホテル・レストラングループとして、お正月を彩るイベントとしての重要性はもちろんのこと、和食に携わる料理人として、お正月におせち料理を提供することは非常に意義があることだと感じており、おせちの意味をかみしめ、この一年の始まりの時間を大切にしていきたいと考えています。

料理人として、これまでおせち料理にはどのように関わってきましたか

(大久保)私はこれまで六本木、上野、八重洲の日本料理、河豚専門店などで和食に関わってきました。そういった中、「花ごよみ東京」(1899のグループホテル「ホテル龍名館東京」内の会席料理レストラン)でのおせち料理イベントから10年以上作り続けています。
和食全般に言えることですが、料理を知らないと美味しいおせち料理は作れません。下処理で料理は決まってしまうと言っても過言ではありません。昆布巻きでは魚の下処理ができないとダメですし、海老を取り扱う場合でも途中の作業を疎かにすることは味に大きな影響を与えます。栗きんとんにしても素材を丁寧に裏ごしして口当たりを良くすることが大事なポイントです。扱いが悪いと美味しくなるものも美味しくなりません。そういった意味では、これまでの和食料理人としての経験が大きく影響していると言えると思います。

ありがとうございます。料理のこだわり部分についてはいかがですか

(大久保)こだわりは何といっても味です。料理長として最終的な味付けは私が決めています。これは個人的な印象ですが、一般的なおせち料理は全体的に味が濃くて、途中で飽きてしまう味付けになっているものが多いと思っています。1899のおせち料理は、食べ続けられる優しい味付けです。リピーターのお客様も多くいらっしゃいますが、その点が評価されているのでは、と考えています。

また一つひとつ丁寧に作ることにもこだわりを持っています。
例えば公魚煮(わかさぎ煮)ですが、一回素焼きすることで余分な油・臭みを落とし、骨まで食べられるようにコトコト煮た後に、そこから味付けを行っています。昆布巻きについては巻く手間に加えて、その後に干ぴょうを結んでいます。数の子もポイントがあり、塩漬けされた数の子は、塩の抜き加減で大きく味が変わってきます。塩を抜きすぎると味はボヤけますし、逆の場合は塩辛くなってしまいます。

一年に一度しか作る機会のない料理も多いため、これらの手間のかかる作業はスタッフの経験にとっても良い機会になると感じています。

なるほど。そんなスタッフの士気はいかがですか。

(大久保)通常の店舗運営の中の仕込みのため、これからが頑張り時です。スタッフは毎年恒例のおせち仕込み作業のため気合いが入っていますし、お正月を迎えるためという、明確なゴールがあるため多忙ですが毎年走り切れています。私含めておせち料理を10年以上仕込んでいるスタッフもリーダーシップを発揮してくれています。

忙しい中ではあるものの達成感もありそうです。1899こだわりの“お茶おせち”についてはいかがですか。

(大久保)お茶おせちは、1899らしい商品として力を入れている料理です。
今まで食べてきたおせち料理とは違う、目新しく、パッと見てお茶を使っていることがわかりやすい商品を目指しています。緑色の抹茶を使った「お茶料理」ということがすぐにわかる商品から、表に出さない料理までバランス良くご用意しているつもりです。目で見て、食べて美味しいおせち料理ができると思います。

お茶おせちのおすすめは抹茶栗きんとんです。
見た目の鮮やかな緑色はもちろん、他では味わえない料理だと思います。
栗とサツマイモの甘さの後に、抹茶の香りが広がります。甘すぎないのでいくらでも食べ続けられる抹茶栗きんとんです。
タコの煮物はほうじ茶を使っているので柔らかく仕上がっています。
もともと和食で霜降り(魚をお湯でくぐらせて、余分な油をとる工程)という技法がありますが、お湯ではなくお茶で霜降りをする茶ぶりという技法もあります。番茶やほうじ茶にくぐらせます。タンニンの働きで生臭さが抜けて、食材の香りを邪魔せずにやわらかくすることができます。1899ではほうじ茶で茶ぶりをして、さらに味付けのベースにもほうじ茶を使っています。

ありがとうございます。最後におせちブッフェにお越しいただける皆さんへメッセージをお願いします。

(大久保)お正月なので楽しんでいただきたいのはもちろん、是非料理に期待してほしいと思います。また、頑張って仕込んだおせち料理と共に、抹茶ビールなどのお茶ドリンクもあるので、ご家族・ご友人たちと素敵な時間を過ごしていただければと思います。
レストランにお越しいただけない方にはテイクアウトのおせちもご用意してます。是非、年始めに1899のおせち料理を堪能ください。

おせち料理の由来と意味

最後におせち料理の由来や、今回ブログで登場したお料理の意味などをご紹介させていただきます。

おせちは中国の行事に由来し、弥生時代に神様へのお供え物として日本に伝わったのがおせちの始まりと言われています。
弥生時代は季節の変わり目・節目(節)に、豊作を感謝して料理を神様にお供えしていました。

その風習が平安時代には「御節供(おせちく・おせつく)」という料理に移り変わります。
平安時代に節日に朝廷内で邪気を祓い、不老長寿を願う「節会(せちえ)」という儀式が行われており、そこで振る舞われていたお祝い料理が「御節供(おせちく・おせつく)」です。
この「おせちく・おせつく」が語源となり「おせち」という名前になったそうです。

その後江戸時代に「御節供」が一般行事として庶民にも広がり、今のようにおせちを重箱に詰めるようになったのは江戸時代から明治時代と言われています。

さらに重箱に詰めたおせちが一般に広まり、今のように見栄えがするようなおせちになったのは、戦後。
百貨店などでのおせちの取り扱い・販売を始めたことが背景にあるそうです。

おせちの歴史は長いものの、現在のおせちのかたちになったのが戦後とは。
意外と最近のことだなと感じます。

龍名館グループは明治32年創業なので、恐らく当時はおせちを重箱に入れる文化はあったものの、いまのように豪華なものをどこでも買えるというよりは、それぞれの家庭で作ったものを詰めておせちとしていたのではないかな、と想像します。

おせち料理の種類と意味

お重ともなると20~30種類のおせち料理が入っており、種類の多いおせちだと40種以上のものも。
そんなおせち料理ですが、それぞれのおせち料理に意味があるのはご存知ですか。

おせち料理に入っている鯛が「めでたい」にかけていたり、おせち料理の数の子は子孫繁栄を願うものだったりするのは認知度が高い印象がありますが、おせち料理には他にもそれぞれ意味があります。
皆さんおせちの意味、全部わかりますか??

おせちのそれぞれの料理にどんな意味があるのか、ご紹介いたします。おせちへの理解がより深まることでしょう。

黒豆の意味:無病息災の願いと、黒く日焼けするほどマメに働けるように。
数の子の意味:卵の数が多いことから子孫繁栄を願って。
田作りの意味:いわしを肥料としたところ豊作になったことから五穀豊穣を願ったもの。
紅白かまぼこの意味:赤色は邪気除け、白色は神聖さを表しています。
伊達巻きの意味:巻物に似ていることから、学業が豊かになることを願う縁起物。
里芋の意味:種芋に小さな子芋がつくことから、子宝を願う縁起物。
栗きんとんの意味:漢字で「金団」と書くことから金運の縁起物。
紅白なますの意味:祝い事に使用する水引に形が似ていることから。
ブリの意味:出世魚であるブリ。立身出世を願う意味が込められています。
はまぐりの意味:それぞれの貝がしっかりと重なり合うものがひとつしかないことで夫婦円満を願います。
車エビの意味:長いヒゲや腰が曲がっていることから、長寿願いとして。
くわいの意味:大きな目が出ることから立身出世を願っています。また黄色に色づけることで財の豊かさを。
昆布巻きの意味:昆布は「喜ぶ」にかけて縁起が良いとされています。
かぶの意味:国花であり祝い事で使われる菊の形に飾り切りし、おせち料理に花を添えます。
錦卵の意味:卵の黄色と白が金銀の2色を表しています。