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後発酵茶ってなに?|1899 CHACHACHA BLOG
後発酵茶ってなに?
みなさん、「後発酵茶」って聞いたことがありますか?
読み方は「こうはっこうちゃ」。
ちょっと珍しいお茶なので、耳馴染みない方も多いかもしれません。
緑茶の一種とされていますが、一般的な緑茶とは、製法も、味わいも、効能も異なるおもしろいお茶なんですよ。
今回のブログでは、この後発酵茶がどんなお茶なのかをご紹介していきます。
「発酵茶」と「後発酵茶」は別物
日本茶の中には、「後発酵茶」のほかに「発酵茶」という種類のお茶があります。
名前が似ているから似たお茶なのかな?と思ったら大違い。全く異なるものなのです。
一般的に「発酵」というと、微生物をつけて食物を変化させることを指すかと思います。
ヨーグルトや、パン、味噌などが発酵食品として一般的ですよね。
しかし、お茶の世界での「発酵」は、酸化作用のことを指します。
茶葉は、摘んでから放置しておくと時間とともにだんだんと発酵(酸化)が進んで行きますが、加熱することでストップします。
茶葉を摘んでからすぐに加熱して発酵を止めるお茶を「不発酵茶」と言い、緑茶がこれにあたります。
茶葉を少し発酵させる「半発酵茶」は、ウーロン茶。完全に発酵を進めてつくる「発酵茶」は、紅茶にあたります。
同じ茶葉でも、酸化の進行具合によって仕上がるお茶の種類が変化していくのは、お茶のおもしろいところですよね。
話がそれましたが、つまり「発酵茶」というのは平たく言うと「紅茶」のことなのです。
では、「後発酵茶」とは何なのか?
後発酵茶というのは、茶葉を摘んだらすぐに加熱して酸化をとめ、揉捻などの加工工程を経た後で、微生物によって発酵させてつくるお茶です。
急に複雑になりましたが、それぞれの行程を分解してみていきましょう。
摘んだ茶葉をすぐに加熱して酸化を止めるので、茶葉の酸化度合いで決まる分類「不発酵茶」「半発酵茶」「発酵茶」の3種の中では、「不発酵茶」=緑茶 に分類できそうです。
後発酵茶という名前でありながら、不発酵茶の一種でもあるというのは不思議な感じがしますよね。
加熱後に行う「揉捻」という工程では、茶葉を揉んで、風味を作り出す成分を抽出しやすくしたり、茶葉のかたちを整えたりします。
ここまでは一般的な煎茶などのお茶を作る時にも行われる工程ですが、ポイントは最後に行う「微生物による発酵」です。
乳酸菌やカビなどの微生物のチカラを使って、茶葉を発酵させます。
この独自の行程が、後発酵茶ならではの風味を生み出します。
後発酵茶にはどんなものがあるの?
国内では、4種の後発酵茶が作られています。
<徳島県の「阿波晩茶」>
桶に詰めて乳酸菌によって発酵させ、天日干しをして完成させます。
茶葉の新芽を使わずに、大きく硬く育てた茶葉を使います。
<高知県の「碁石茶」>
カビをつけて一次発酵させた後、乳酸菌で二次発酵させる二段階発酵で作られています。
3cm角程度に切り、天日干しにして完成します。
<愛媛県の「石鎚黒茶」>
カビをつけて発酵させた後、よく揉んで、乳酸菌による二段階発酵にて作られます。
江戸時代から伝わる、長い歴史を持つお茶です。
<富山県の「バタバタ茶」>
カビをつけて発酵させて作られています。二本合わせの茶せんを振りたて泡立てて飲むお茶で、その様子が「バタバタ」していることからバタバタ茶と呼ばれるようになったといわれています。
微生物発酵させるというのは共通していますが、細かい作り方や飲み方についてはそれぞれ異なっているのがわかります。
どれも、地域に根ざした伝統的なお茶なので、その地域それぞれの個性が現れているのではないでしょうか。
後発酵茶は、生産する地域が一般の緑茶以上に限られているため、生産者の高齢化などで生産が途切れそうになったものもあるそうですが、その文化を守るべく、地域の方々が共同して生産を支え今日まで続いています。
後発酵茶は珍しいだけのお茶ではなく、大切に受け継がれてきた、歴史をもつお茶だということが感じられますよね。
後発酵茶の味は?
微生物発酵させているので、日本茶としては珍しく酸味があるというのが味の最大の特徴ではないでしょうか。
微生物発酵させていることから、“漬物のようなお茶”と表現されることもあるようです。
香りも様々で、煎茶とは全く異なるため初めて淹れるときは驚かれるかもしれません。
初めて飲んだ時には、わたしもびっくりしてしまいましたが、後からクセになってくるような、他にはない味わいです。
お茶の種類によって、個性豊かな味わいがありますので、是非実際に味わっていただきたいです。
水色もお茶の種類によって変わりますが、煎茶のような緑色でなく、黄色や茶色に近い色をしています。
後発酵茶の効能は?
一般の日本茶にはない微生物醗酵の行程によってできる発酵生成物が、免疫の調節や腸内環境の改善などにつながると考えられます。
また、日本茶の成分といえば「カテキン」というイメージがありますが、乳酸菌発酵によってカテキンやカフェインが減少するという研究結果もあるようです。
一般的な緑茶とは異なる効能が期待できそうですね。
調べていくうちに、生産地が限られており、生産量も少ない後発酵茶の効能については、はっきりとした研究成果がでていないということもわかりました。
効能について詳しく知りたい方には、日本最大級の研究機関「産業技術総合研究所」のこちらの記事が読みやすくて面白かったのでおすすめです。
後発酵茶はどこで飲めるの?
百聞は一見に如かず。後発酵茶を実際に飲んでみたい!という方に、1899のフェアのご案内です。
お茶の水の日本茶レストラン「レストラン1899お茶の水」と、新橋の日本茶カフェ「チャヤ1899東京」では、2022年9月1日~11月30日まで、「ほうじ茶・番茶フェア」を開催しています。
番茶商品の一種として、後発酵茶のひとつである「阿波番茶」をご用意しています。
今年は気候の影響で生産量が少なかったということで、無くなり次第提供終了の予定となっています。
ご興味がある方は、是非こちらを見てみてくださいね。
知れば知るほど奥が深く、種類もたくさんある日本茶。
後発酵茶を知ることで、日本茶の楽しみ方が広がったら嬉しいです。
日本茶を取り入れた生活、お楽しみください。