「お茶」をテーマに龍名館がお届けするレストラン&ホテル

  • YouTubeアイコン
  • X(旧Twitter)アイコン
  • Instagramアイコン
  • Facebookアイコン
  • Pinterestアイコン
  • TikTokアイコン

MENU

日本茶Journey
JOURNEY日本茶Journey

日本茶Journey 03|富士煎茶

静岡県富士市 茶香房 山田製茶 
山田 典彦さん

富士煎茶

「おいしい」の笑顔を、富士のお茶で。

茶葉とともに、その土地の空気や作り手のこだわりをお届けする「日本茶 Journey」。
全国を旅するような気分で日本茶を楽しんでいただきたい。そんな想いから生まれた、日本各地の"つくり手"の技が息づく1899オリジナルセレクションです。

今回は、静岡県富士市。
茶香房 山田製茶の二代目、山田典彦さんにお話を伺いしました。

富士という土地

北には日本一の高さを誇る富士山があって、南には日本一深い駿河湾がある。富士って、そんな日本で唯一の場所です。
地元の人間にとっては、富士山が当たり前の存在になっているけど、遠方からお越しの方に「富士山が見られていいね」と言われると、改めてその存在の大きさを感じる。茶畑が広がっている奥に、富士山が見える。そんな土地です。

お茶をつくる環境としても恵まれていると思います。火山灰の土壌は、水はけがよい一方で、適度に水分を保ってくれる。肥料も効きやすいんです。富士山からの伏流水もありますし、空気もいい。
あとは、台風が直撃することも、比較的少ないんじゃないかなと思います。やっぱり富士山に守られてるのかなと思うことがあります。

富士山と茶畑の景色

お茶をやろう、と決めた日から

僕の仕事は、一言でいうなら農業。
お茶を作るところから販売まで行っているので、お茶屋さんということもできるし、お茶を「作る」という意味だと茶師とも言えるけど、農業というのが一番しっくりきます。

山田製茶においては、僕が二代目。親父が一代目です。
祖父の代は、実はお茶ではなく、みかんをつくっていました。地域一帯でみかんづくりが盛んだったのですが、みかんの価格が下がったことをきっかけに、父の代から少しずつお茶を植え始めて。みかん畑がどんどん茶畑に変わっていって、僕が小さい頃に全て茶畑になりました。なので、子供の頃には茶畑で遊んでいました。

僕が「家を継ごう」というか、「お茶をやろう」と決めたのは、中学2年生のとき。
両親と一緒に、初めてお茶の苗を植えたんです。
一緒に植えたことで、この木がこれから育っていくところを想像したりして。
お茶の木を植えたのが午前中で、そのあと部活動のために学校に向かって山道を歩いていたのですが、その道すがら「継ごうかな」と考えたのを覚えています。この瞬間が、自分の道を決めるきっかけになりました。

そこから、家業のお茶を手伝うようになり、高校生の頃には本格的に作業に参加していました。そして、自分の大学卒業とともに現在の茶工場が建ち、僕がお茶の「製造」を担当するようになりました。

そうしたら、お客さんからダメ出しをいただきまして。
親父のお茶が好きで購入してくださったお客さんが、僕の代になってからのお茶を「これは山田のお茶じゃない」と。
その時に、親父が作ってきたお茶を生かさないといけないな、と気付かされました。流行に合わせることだけを考えてしまったら、自分たちのお茶じゃなくなってしまう。それをお客さんに教えていただきました。
次の年から、お茶の形状や作り方を、いろんな方に教えてもらいながらさらに試行錯誤するようになりました。代々つくってきたものを守りながら、自分なりにより良いものをつくっていく。そこは、今も大事にしています。

山田製茶の工場

「茶ら男」として、お茶の魅力を伝える

僕が「茶ら男(ちゃらお)」と名乗って活動するようになったのは、今から13〜14年ほど前。35〜36歳のときです。

見た目のイメージは、黄色い丸いスナック菓子でおなじみの、あの"おじさん"のキャラクター。イベントに出るときの格好を考えていたときに、農家らしさのある、親しみやすい姿がいいなと思った。そこから今のスタイルになりました。

自分自身を広告宣伝塔にして、山田製茶をもっと知ってももらおう。そんな思いで茶ら男として活動していたら、あるとき地元テレビ局が15分ほど取り上げてくれた。

これが大きなきっかけになって、一気に茶ら男の名前が広まったんです。「お茶農家に茶ら男ってやつがいる」と、お茶の業界でも知られるようになって。自分の姿を見てもらうことで、山田製茶のことも知ってもらえるようになりました。

テレビの反響には自分でも驚きました。テレビでイベントの告知をさせてもらった時には、放送を見て来てくださったお客さんがオープンと同時に押し寄せて、二人しかいないスタッフで、ひたすらお茶を詰めて販売することになって。2日間で過去にないほどのお茶をお求めいただきました。
「テレビってすごいな」と思いました(笑)

でも、そうやって多くの人に知ってもらえたことは、やっぱりうれしかった。お茶を飲んでもらって、笑顔になってもらう。そのためにも、まずは山田製茶のこと、お茶をつくっている僕たちのことを知ってもらうことが大切だと思っています。

山田製茶のオリジナル茶筒

お茶に込めるこだわり

お茶をつくるうえでこだわっているのは、丁寧さ。
特に、お茶の葉を丁寧に揉むというのは心がけています。お茶の製造では、一度にたくさんの茶葉を機械に入れて、早く終わらせることもできます。でも、僕はあえて量を減らして、時間をかけて揉むようにしています。燃料費はその分かかるかもしれないけれど、せっかくつくるなら、いいものをつくりたい。そこはずっとこだわっています。

それから、工場をきれいに保つことも大切にしています。お茶は食品なので、どんな場所でつくっているのかをお客さんに見てもらうことも大事だと思っています。だから、いつでも「どうぞ」と工場を見てもらえるように、機械を動かした後はしっかり掃除をする。掃除って時間がかかるので、正直、製造の時間よりも長くかかることもあります。それでも工場をきれいにしておくことは、僕にとってこだわりの一つです。次の日に綺麗な工場で自分が作業をしたいという、自己満足みたいな部分もありますが(笑)

工場で僕が荒茶を作ったあとは、親父が仕上げをします。親子の共同作業です。
そしてそれを、どのようにブレンドするかを考える作業が始まります。
どの品種をどれくらいの割合で合わせるか、どの部位を使うか、火の入れ方などを、弟も加わってああでもないこうでもないと話し合いながら調整しています。

そうやってできたお茶を、お客さんに「おいしい」と言ってもらえたら、それが一番うれしいです。

今回のお茶について

富士山のふもとで育った、やぶきた、おくひかり、さえみどり、さやまかおり、つゆひかりの品種をブレンドした煎茶です。

ちょっと高級な和菓子と一緒に飲んでいただいたり、大切なお客さまにお出ししてもらうのもいいかと思います。ぜひゆっくり味わってください。

日本茶Journeyをご覧の皆さんへ

山田典彦さんの一日をご紹介
ー 新茶シーズンの場合 ー

5:00

茶畑の確認

その日の茶刈りをする畑を確認。露があれば払い、乾かしてから茶刈りを行う

7:00

茶刈り

茶葉を収穫。3〜4時間ほどかけて行い、収穫した茶葉を工場へ運ぶ

11:00

茶工場で製造・仕上げ

蒸し作業から始まり、最初のお茶が仕上がるまで約5時間。日付を跨いで作業が続くことも。

深夜

清掃・作業終了

製造後は工場を清掃。1時間以上かけて、機械や工場をきれいに

  • 新茶シーズンは、こうした生活が約2週間続く。
  • でも、新茶シーズンは「大変だけど楽しい!」
  • 大変な時期だからこそ、茶葉の香りに包まれながら、お茶づくりに向き合う時間を楽しんでいる