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【前編】萎凋茶ってどんなお茶?|1899 CHACHACHA BLOG
2024/02/03 一服のお茶のような話 編集長 山口沙織
萎凋茶ってどんなお茶?
みなさん、「萎凋茶」って聞いたことがありますか?
読み方は、「いちょうちゃ」。
「萎凋」という言葉も、日常的に使うものではないので、あまり耳馴染みがないかもしれません。
しおれる+しぼむ と書くお茶、萎凋茶。
漢字から受ける印象はちょっとネガティブな感じ・・・?
いったいどんなお茶なのでしょうか。
このブログを通して明らかにしていきたいと思います。
「萎凋」ってなに?お茶のプロに聞いた
萎凋茶とは、その名の通り、萎凋させたお茶のことのようです。
では、その萎凋というのは何なのか?
その正体に迫るには、プロに教えてもらうのが一番!
ということで、1899でお茶についてのアドバイスをお願いしている、日本茶インストラクター竹内ひさ代さんに伺いました。
(山口) 竹内先生、萎凋ってなんですか?
(竹内さん)生葉が萎れて、水分を失う状態を萎凋と言うんですよ。
(山口)萎凋茶は、元気な葉を摘んだあとに萎れさせるのですね。
この「萎れる」という部分は、緑茶を烏龍茶や紅茶に変化させる「酸化」と同じものと考えてよいのでしょうか?
(竹内さん)とても難しい部分の質問ですね(+o+)
茶葉に含まれる酸化酵素の働きによってカテキン類の酸化(発酵)が進み、烏龍茶や紅茶がつくられます。
「萎れる」という状態で香りの発揚に関与するさまざまな化学的変化が起こることが明らかになり、萎凋は、単なる水分の減少だけではなさそうです。
(山口)なるほど、「酸化」と「萎凋」は共通点もありそうですが、同じものと言ってしまうのは語弊がありそうですね。
では、お茶において「酸化(発酵)」「萎凋」の2つの呼び方は、
どのように使い分けられているのでしょうか?
(竹内さん)全国品評会などの緑茶の審査会では、萎凋は評価を落とす欠点、減点対象となります。
以前は萎凋は欠点とされていたため、わざわざ「萎凋茶」として販売されることはありませんでした。
最近は、萎凋によって発揚した香りを一つの特徴として、個性的なお茶、魅力的なお茶として商品化されてきています。
華やかな香りや甘い果実のような香りなど萎凋茶はさまざまな香りを楽しめる「新しいカテゴリーのお茶」「未来のお茶」として、私たちを楽しませてくれるかもしれません。ワクワクしながら期待しましょう。
今でも萎凋は生葉の傷み、欠点として敬遠する人もいますので、おおらかにとらえましょう。
(山口)以前は欠点とされていたものが、現在はお茶の個性として売り出され、世の中に普及しつつあるというのは面白いですね。
現代では、多様性を認めよう、個性を尊重しようという、という考え方が進んでいるように感じますから、時代にも合っているのかもしれません。
竹内先生、詳しく教えていただきありがとうございました!
「萎凋茶」とは
竹内さんに伺い、萎凋についての理解が深まりました
「萎凋茶」とは、摘んだお茶の葉を一度萎れさせ、独特の香りをもたせたお茶のこと。
萎れる、と聞くとネガティブに感じてしまうかもしれませんが、通常の緑茶にはない工程を加えた、ひと手間かけてつくられたお茶とも言えます。
そして、萎凋によって生じる独特の香りは、緑茶の審査会においては元々減点の対象とされていた。その香りをあえて打ち出したのが、現在「萎凋茶」として販売されているお茶である。
ということが分かりました。
萎凋茶、いったいどんな味なのでしょうか。
背景を知れば知るほど気になってきます。
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竹内ひさ代 氏 – (有)若葉園取締役 ・日本茶インストラクター 一期生 |