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新茶の時期は -もうすぐ立春-|1899 CHACHACHA BLOG
2021/01/30 一服のお茶のような話 濱田裕章
新茶の季節、春の暖かい時期までもう少し…
最近ますます寒くなってきたなと感じる今日この頃。時には手袋がないと手が辛い日もあります。まだもう少しだけ寒い時期が続きますので、温かいお茶でも飲んで家でゆっくり過ごしましょう。それでも、昨年の12月21日の冬至を過ぎてから日照時間は長くなってきています。皆さん気づいていましたか?実感はないですね。。。そして2月3日は立春です。暦の上では「春が始まる日」です。お茶にとっては新茶の時期到来。特に風味も良く、新茶の季節になるとテレビでも新商品のCMやニュースを目にするでしょう。
新茶の時期・季節は?
新茶の時期はいつかご存知でしょうか。他にも一番茶、二番茶、などといった表現もありますよね。
新茶は、その年の春、一番最初に摘まれたお茶のことですが、お茶には様々な風習があり、新茶にまつわるものとしては「八十八夜」です。八十八夜をご存じない方も多いと思いますが、雑節(立春などの二十四節気とは別の、季節の変化の目安となる特定の日のこと。節分、土用、お彼岸など)のひとつで、八十八夜とは立春から88日目のことを言います。お茶好きの方は八十八夜について聞いたことがあるかもしれません。文部省唱歌の「茶摘み(ちゃつみ)」でお茶のイメージが強い八十八夜ですが、八十八夜が過ぎれば気候も安定してくることから昔から農作業の目安とされ、多くの農家が本格的に農作業に取りかかる日と言われています。ちなみに「茶摘み」はこんな詩です。
初夏の茶摘みの情景を謡った唱歌です。
1.
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みぢやないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠
2.
日和(ひより)つづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本(にほん)の茶にならぬ
では、新茶は立春から88日目に採れたお茶のことでしょうか。
もしそうだとしたら、たった一日しか採れない超貴重な茶になりますよね。実際には新茶はその年、最初に収穫されたお茶のこと。地域によって収穫時期も異なりますので、日にちでは決められていません。ちなみに「一番茶、二番茶、三番茶…」の「一番茶」は、1年で最初の新芽を摘み取ったもので、新茶は一番茶に当たります。
新茶という言葉に対して「古茶」という言葉もあります。古茶とは前年のお茶という意味で、新茶に対比した言葉です。一般的には、前年のお茶である古茶が店頭に並ぶことはあまりありません。ただし、人によっては新茶の爽やかさに対して青臭い印象を持つ人もいるそうなので、落ち着いた古茶を好む方もいるようです。味の好みは人それぞれですね。
立春のこの時期は、産地では主に肥料(春肥)を施す時期とのこと。
一番茶の摘採までは肥料を何回かに分けて施します。
この肥料の作業はとても重要で、産地経営にとっても決して小さくない費用ボリュームだそうです。
お茶は摘採や整枝によって樹からたくさんの窒素が奪われるため、栄養状態の維持のためにその奪われる量に合った窒素を補給する必要があるとのこと。
農業全般に共通した話かもしれませんが、美味しいお茶を作るために肥料設備の設置、樹のどの部分に与えるかなどの肥料の効率化も工夫されているようです。
新茶の味 -新茶の時期には新茶を楽しもう-
新茶の特徴は、爽やかな味、高い香りにあると言われています。カテキンやカフェインが少なく、テアニン(アミノ酸類のうまみ成分)が多く含まれています。
実際に茶畑に行って、お茶の木をご覧になった方はもちろん、植物が好きな方はわかると思いますが、新芽というのは本当に綺麗な色、艶があり、とても柔らかいものです。大きく育ちきった葉とは全く違います。そんな新芽の中でも、暖かくなった春の時期に初めて芽吹く葉は、当然その後に芽吹く葉とは違うのだろうなと想像できます。特に寒い時期のお茶の木は、地域によって雪や霜が降りる場所もあり、そんな時期を耐えに耐えて芽吹く葉は、その木の生命力をいただくような感覚さえ覚えます。
新茶の楽しみ方は、様々なところで紹介されていますが、テアニンを活かすために少しぬるめのお茶で淹れるのはいかがでしょうか。苦み成分と渋み成分であるカフェインとカテキンは60度以上から多く溶け出し、80度以上でピークをむかえます。ぬるくてもよければ60度、少し温かめなら70度程度のお湯だと良いかなと思います。
私が皆さんにお薦めしたいのは、是非、自分で古茶と新茶の味わいの違いを試していただきたいと思います。新茶の味わいについては、インターネットをはじめ、様々な場所で紹介されています。私自身「爽やか」と書きましたが、本当に爽やかかどうか。実は違いを感じられないかも。。。思い込みではなく、実際の自分の体験が大事です。是非自分の舌で飲み比べしてみてください。
新茶の時期に、自分を高める時間に
新茶の時期に向けて、お茶の木は、一歩も動かず、動けず、寒い冬を静かに耐え忍んで春の訪れを待ちます。時節柄、自宅で過ごす時間が多いですが、是非この機会に自分の周囲を見つめなおす機会にするのはいかがでしょうか。今回は特に新茶を推していますが、様々な産地や製法の違いなど、普段できないお茶の楽しみ方にチャレンジするのも一興です。
私自身も、一煎一煎のお茶をしっかりと味わいながら飲んで、お茶の楽しみを深めていきたいです。今年の新茶の時期はどんな過ごし方ができるでしょうか。楽しく過ごせることを期待しています。
お茶と共に過ごすゆるやかな時間をあなたに…。