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日常茶飯事の意味とは|1899 CHACHACHA BLOG

2020/09/19 一服のお茶のような話 濱田裕章

日常茶飯事の意味とは|1899 CHACHACHA BLOG

日常茶飯事の意味とは


皆さん、「日常茶飯事(にちじょうさはんじ)」という言葉の意味はご存知でしょうか。

きっと誰しもが一度は聞いたことある言葉ですよね。

ですが、その言葉の意味、言葉の生まれた背景をご存知でしょうか。

実は日常茶飯事とは、お茶料理を提供する1899としては重要な意味を持っている言葉です。

 

日常茶飯事が生まれたのは江戸時代

 

「日常茶飯事」が生まれたのは江戸時代中期。煎茶文化が日常へ広がったことに伴い生まれた言葉です。

ここで簡単に日本茶の歴史の話ですが、1738年、煎茶が誕生しました。煎茶を作ったのは永谷宗円。蒸し製茶の創始者と言われており、この方の子孫が現在お茶漬けで有名な企業を創業するなど、それまで抹茶が中心であった日本茶の歴史において重要なターニングポイントになっています。

その後、隠元禅師の弟子である「売茶翁(ばいさおう)」という方が簡素な喫茶様式として煎茶道を流行らせました。売茶翁は九州の佐賀の方だそうです。この煎茶道が日本の文人たちの間に広まり、抹茶が武士の間で嗜まれていたのに対して、文人煎茶趣味として煎茶文化が発展していったと言われています。この煎茶文化の日常への広がりから、日本人の中で「お茶を飲むこと」、「ご飯を食べること」は一体で切り離すことができないものとして「日常茶飯事」という言葉も生まれてきました。

日本人にとってのお茶とは、「茶道としてのお茶」と、「日本型食生活」があると考えられます。この「日本型食生活」とは主食は米飯で、それを支える飲み物がお茶であり、これは日本人にとって当たり前の食生活=日常茶飯事という言葉の意味です。

 

 日常茶飯事には色々な意味が

 

この日常茶飯事は、昔の話ではありますが、実は糖の急上昇を抑えるという理にかなっている先人の知恵でもあり、現在はこういったお茶の機能性が色々と研究されていますよね。日常茶飯事とは、体を労わる科学の観点と、茶道の精神性が心を労わる文化の観点があるのです。

食品には以下の3つの機能性があると考えられています。

  1. 栄養素の補給
  2. 嗜好の満足
  3. 生命機能の調節

戦後は貧しい時代ですから、食品(食べ物)からの栄養補給が重要であり一つ目の「栄養素の補給」が求められる要素でした。その後だんだんと時代も豊かになりただ栄養素を補給するだけでなく、二つ目の要素「嗜好の満足」を求めるようになります。時代の変化とともに食事へのニーズも変化し、現在では三つ目の「生命機能の調節」。機能性食品に代表されるように、様々な食品に体への調整機能が含まれ始めており、多くの人がそれを求めています。「トクホ」と呼ばれる特定保健用食品は多く販売されていますよね。

今後はどうなるでしょうか。

1899では、その三つの機能性に加えて、お茶の持つ力を通して「心の満足」を大切にしていくことを四つ目として考えています。レストランのディナータイムではアルコールも提供していますが、お茶をコンセプトとした1899では急須に入ったお茶が看板商品です。緑茶だけでなく、和紅茶やほうじ茶、お客様それぞれに合わせたお茶をご用意しております。お茶を淹れる過程、浸出時間や注ぎ方による味の変化。お茶があることで食卓が彩られることはもちろん、お茶と触れる一つひとつのシーンが食事の時間をより豊かにしていきます。また、1899が提供するお茶料理はお茶を様々な用途で使っています。例えばお茶の緑色やお茶の風味を楽しむ、お茶を直接食べることで食物繊維を加えたお茶のもつ栄養素を一緒に取り込む、カテキン等による抗菌・抗毒作用などのお茶の効能を引き出す。普段食べる機会が少ないお茶料理を通して、お茶の持つ力を感じることができるのです。1191年、栄西禅師が中国・宋から茶種を持ち帰ったことから始まる「日本人がお茶に魅了されてきた歴史」がこの食材にはあるのです。ただ味わうだけではない精神性がそこにあります。

お茶は美味しい薬であり、心の薬でもあるのです。多様性も大切ですが、改めて日本型食生活の価値を見直していただき、ご自宅の食卓をどのように彩るか今一度考えていただけばと思います。

レストラン1899お茶の水でご提供しているお茶料理・ドリンク(2020年9月現在)

 

※今回は、以前に1899にお越しいただき、お茶料理を指導いただいた先生のお話をもとにまとめさせていただきました。