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【体験記】石鎚黒茶・新宮茶の秘密に迫る|1899 CHACHACHA BLOG

2024/10/05 一服のお茶のような話 ゆりな

【体験記】石鎚黒茶・新宮茶の秘密に迫る|1899 CHACHACHA BLOG


【体験記】石鎚黒茶・新宮茶の秘密に迫る


脇製茶場の見学と石鎚黒茶の製茶体験に参加しました

日々、様々なかたちでお客様に日本茶を提供している1899。

先日、1899の研修の一環として、愛媛県の茶畑と製茶工場の見学、石鎚黒茶の製茶体験に参加してきました。

生産者さんたちの想いや、お茶そのものについての知識など、たくさんの発見があったので、ブログでもご紹介していきたいと思います!

脇製茶場の見学

新宮茶の特徴

四国中央市新宮町(しんぐうちょう)で生産される新宮茶は香りの良さと独特の渋みが特徴と言われています。

斜面の小さな土地に複数の茶畑があり、兼業でお茶を栽培している方が多いとのこと。今回見学させていただいた脇製茶場などの比較的規模の大きい工場で小さい茶畑から茶葉を買い取って製茶をするそうです。


脇製茶場では脇純樹さんにご案内いただき、お茶の試飲、茶畑と工場の見学をしました。とても良い香りの部屋があり、「何の香りですか?」と伺ったところ烏龍茶を作っているとのこと。初めて見る道具に一同興味深々でした。

急斜面の山間の茶畑では2名で持ち上げてお茶を摘む可搬型摘採機を利用するそうです。私が好きなとげとげの可搬型摘採機も見ることができ、かっこよかったです。脇さんが淹れてくださったお茶はどれも香りが良くて美味しくて、お土産もいろいろ買ってしまいました。

SHINGOOD TEA


カモミールや柑橘を使ったフレーバーティーなどを含む、華やかなデザインのSHINGOOD TEAシリーズ。ティーバッグなので宿泊先でも手軽に楽しむことができ、香りの良い美味しいお茶で気持ちをほぐすことができました。6種類入ったお試しパックは気分に合わせてお茶を選ぶこともできて嬉しかったです。

脇製茶場
〒799-0301 愛媛県四国中央市新宮町馬立4630

美作番茶の生産者さんと合流

ここで、岡山県の伝統茶「美作番茶」を生産されている、小林芳香園の小林将則さんと合流。小林さんは映画「風の奏の君へ」のお茶の監修もされ、1899でも連動イベントを開催するなど、ご縁があり、今回の見学にも一緒にご参加いただくことになりました。

小林芳香園のお茶は美作番茶だけでなく「煎茶 瀬戸内ブレンド」や「三年番茶」も美味しいんですよ!美作番茶の製茶時期は石鎚黒茶の少し後だそうで、石鎚黒茶の製茶体験に一緒に参加できるなんて嬉しすぎて内心キャーキャー言っていました笑

こちらは以前私が自宅用に購入したお茶ですが、画像の右から3つが小林芳香園さんのお茶です。


小林芳香園
〒707-0044 岡山県美作市海田1691

霧の森大福


オンライン販売では抽選が行われ、現地でも購入できる数量に制限があるほど人気な霧の森大福。私も出張前から日本茶インストラクターの先輩に「霧の森大福を食べた方がいいよ!」と伺っており、食べられるかな?と楽しみにしていました。

CHACHACHAブログのライターの中でも以前何度か抽選に申し込んだスタッフがおり、全落ちしてしまったそうです。そうとは知らず、そして冷蔵で消費期限3日間のためお土産でも買って帰ることができませんでした。ごめんなさい!

脇製茶場でも、「茶畑の寒冷紗がある部分では霧の森大福に使われるお茶を作っているんですよ」と紹介がありました。「新宮わきの茶」の中から「かぶせ抹茶」を厳選してお餅に練り込まれているそうです。外側にもちょっとむせてしまいそうなくらい贅沢に使用されていました。中のこし餡と生クリームも上品な甘さでした。

霧の森
〒799-0301 愛媛県四国中央市新宮町馬立

石鎚黒茶製茶体験

無形民俗文化財指定 石鎚黒茶とは


お茶といえばどんな種類が思い浮かぶでしょうか。煎茶、紅茶などのほかに、麦茶やハーブティーなどもお茶と呼ばれますよね。ここでは分かりやすくするため、日本茶とはお茶の樹(学名:カメリアシネンシス)を原料として製造されたものとして考えていきたいと思います。

緑茶、烏龍茶、紅茶などカメリアシネンシスを原料としたお茶は発酵の度合いで種類が変わります。お茶においての発酵とは菌やバクテリアによる一般的な「発酵」ではなく、酸化による変化のことを指します。酸化が始まる前に発酵(酸化)を止めたのもが不発酵茶(緑茶)、ある程度発酵(酸化)させたものが半発酵茶(烏龍茶や包種茶)、完全に発酵させたものが発酵茶(紅茶)です。
図はこちら

それでは石鎚黒茶とはどのようなお茶なのでしょうか。

分類でいうと後発酵茶とされます。
今までの流れでいくと、発酵とは酸化による変化であり、発酵(酸化)の度合いによって種類が決まるのではないの?と思われたのではないでしょうか。石鎚黒茶は酸化ではなく糸状菌や乳酸菌による発酵で作られるお茶なのです。

後発酵茶について詳しく知りたい方はこちらのブログもご覧ください!

令和3年の生産量は464kg、令和5年の一番茶全体の荒茶生産量は2万1,000t。年度は異なりますが規模感が全く違い、石鎚黒茶がとても稀少であることが分かります。
(西条市HP、農林水産省HPより)

製茶体験

石鎚黒茶の製茶の大まかな流れ
①摘採
②殺青
③カビ付け(好気的カビ発酵)
④揉捻
⑤漬け込み(嫌気的バクテリア発酵)
⑥乾燥

今回は生産グループであるさつき会にて2日間石鎚黒茶の製茶を体験させていただきました。作業のタイミングの都合で1日目に後半の工程である揉捻から漬け込み、2日目に前半の工程である摘採からカビ付けの作業を体験しました。

1日目

揉捻


カビなどの菌によって発酵したお茶の葉を桶から出して揉みます。発酵によって葉がもわっと温かくなっていて驚きました。チーズのような独特な匂いがします。洗濯板で葉に傷をつけるようにして揉むことで更に発酵しやすくします。揉みながら茎を取り除きます。

漬け込み

揉み終わった葉を10kgごとにビニール袋に入れます。ビニール袋ごとポリバケツに入れ、空気を抜いて平らになるように踏みます。1つのポリバケツに2袋入れました。下の袋は女性、上の袋は男性が踏み固め、しっかりと空気を抜きます。最後に重石を載せて蓋を閉め、ビニールをかけて1週間嫌気発酵させます。

この日は朝の8時頃から昼頃まで参加させていただきました。7月初旬で暑かったのですが、川の上を通って来る風がとても気持ちよかったです。1週間発酵させた後は天日干しをするそうです。今年は体験できませんでしたが、いつか天日干しもやってみたいです。

2日目

摘採、選別、殺青

山の中でのびのびと育っているお茶を刈り取ります。かまぼこ形ではない茶畑を実際に見るのは初めてでした。作業しやすいように刈り取りの日以外にも日々丁寧に手入れをされているそうです。桶に入るよう30cmくらいの長さにカットし、太い枝はこの時点で取り除きます。刈り取りが終わったら水で洗って大きな蒸し器で蒸します。

桶詰め


さらに枝を取り除き、お茶(蒸したときの煮汁)をかけます。木の箱に空気が入るように底に20cmほど枝を入れた上に葉を詰めます。布と木の蓋をして1週間カビの力で発酵させます。


この日は気温が上がる前の朝6時頃から作業を始めましたがそれでも暑かったです。合間にいただいた冷たい石鎚黒茶がとても美味しかったです。低カフェインなので脱水しづらいのも安心です。

さつき会
〒799-1103 愛媛県西条市小松町北川396

2日間にわたって石鎚黒茶の製茶を体験し、お茶の木を成長させたり茶葉を発酵させたりする自然の力の大きさや、手作業の技術や大変さを感じることができました。貴重であるとともに体に優しく美味しいお茶なので、少しでも多くの人にお召し上がりいただきたいです!

11月30日まで!ほうじ茶・番茶フェア開催中
レストラン1899お茶の水、チャヤ1899東京では期間限定で石鎚黒茶や美作番茶もお楽しみいただけます。秋の食材を使ったスイーツとともにぜひお召し上がりください。