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一年最後のお茶、秋冬番茶ってご存知ですか?|1899 CHACHACHA BLOG
2024/09/14 一服のお茶のような話 大平璃子
一年最後のお茶、秋冬番茶ってご存知ですか?
こんにちは!
9月になってもまだまだ暑い日が続きますね。
私もまだまだ水出し茶を切らさないよう作り続ける日々です。
今回は文章だけでも“秋”を感じられるよう、「秋冬番茶」について調べてみました!
新茶の逆ってなんだろう?
今回テーマとして選んだのは「秋冬番茶(しゅうとうばんちゃ)」です。
秋冬番茶を調べるきっかけとなったのは私のふとした思い付きで、
「新茶があるなら、その反対もあるのかな?」というシンプルな疑問からです。
新茶はよく耳にするし、時期になるとお店でも宣伝していますよね。
新茶とは、その年の最初に摘むお茶。
じゃあその年最後のお茶はなんて呼ばれるんだろう?そもそもお茶摘みって一年のうち何回お茶の葉を摘むんだろう?最後はいつ何だろう?
その年の最後に収穫される四番茶・秋冬番茶
“四番茶”と聞いて、鋭い方は既にピンと来ているかもしれません。
茶摘みの時期は1年に4回(お茶にもよる)あり、最後となるのが四番茶。
一番茶は皆様よくご存知の”新茶”と呼ばれるお茶です。
一番茶は4月中旬から収穫が始まり、その50日後に収穫されるお茶を二番茶、7月中旬から8月上旬に収穫されるお茶を三番茶と呼ぶそうです。
そして9月下旬に収穫されるその年最後のお茶が四番茶、三番茶を収穫せずに秋季から初冬にかけてまとめて収穫されるお茶は秋冬(しゅうとう)番茶と呼ばれるそうです。
秋冬番茶と四番茶は収穫時期は同じですが、収穫までの過程が異なるということですね。
でもインターネットで調べていくと、四番茶と秋冬番茶は別物としているところもイコールにしているところもあり・・・
こうなったら聞いてみよう!
聞くのが一番早い解決方法!
ということで、日頃1899ブランドにて非常にお世話になっている日本茶インストラクターの竹内ひさ代さんへお伺いしました。
聞いて分かった秋冬番茶のこと
さっそく竹内さんにいくつか質問をさせていただきました。
Q.四番茶・秋冬番茶は同じお茶なのでしょうか?
インターネットで検索をしてみると、「四番茶(秋冬番茶)」と書かれていたりその逆もあったり、ごちゃごちゃにしても問題ないお茶なんだろうか?と疑問に思いました。
A.「四番茶」は四番目に摘採してつくったお茶、「秋冬番茶」は、その年の最後に摘採してつくったお茶です。
Q.新茶は大々的に毎年看板を掲げてお店が販売しているのを見るのですが、四番茶・秋冬番茶に関しては安いというくらいの情報が多く・・・長く栽培しているので安価であるということなのでしょうか?
A.新茶も四番茶も秋冬番茶も生産時期の違いにより、茶葉の特徴、個性が異なります。
お茶は嗜好品として、それぞれのお茶の香りや味わいの違いを楽しみますが、お茶の価格はいろいろです。価格は、お茶の摘採時期、品質によって決まりますが、産地や品種のこだわりや需要と供給のバランスなどにも影響をうけることがあります。
一般的に新茶は最もお茶がおいしい時期に摘採されるので品質もよく高価格で取引される傾向がありますが、日が進むにつれて価格が低下します。四番茶、秋冬番茶は茶葉が成長し硬く、色も浅くなり評価が低くなり安価になる傾向があります。お茶の取引はちょっと独特です。今後、秋冬番茶の人気がアップし価値観が評価されるようになったら超高級品として取引きされる日が来るかもしれません。
Q.茶葉そのものをスーパーなどで販売している場面を見かけたことがないのですが、使用用途をお聞かせいただけますと幸いです。
A.大昔は、家庭でも会社でもお安い番茶がたくさん飲まれていました。会社では今のように自販機やコーヒーメーカーの設置がないので自分たちで急須を使ってお茶をいれていました。
給茶機という自動お茶出しマシーンもずいぶんと活躍し、番茶の需要が十分にありました。
その需要にこたえ番茶は番茶として売られていました。
現在は、家庭でのお茶ばなれも深刻で、会社でのお茶当番も消えてしまいましたので番茶の需要も少なく番茶として飲まれる代わりに四番茶・秋冬番茶はほうじ茶原料として人気だそうです。粉末茶やペットボトル飲料などの加工品の原料にも利用されています。
なるほど・・・
秋冬番茶については恥ずかしながら今回名前も初めて知ったくらいだったので、収穫時期が遅いお茶=長い間太陽の下に出ているので品質も落ちて安価なのでは?というイメージが先行しておりました。
しかし竹内さんの仰るとおり、お茶は品質が良ければ何番茶であっても関係なし。
そして今回お話をお伺いしてみると、秋冬番茶には秋冬番茶の良さがきちんとあることを知ることができました。
やはりきちんと知識を持った方へ、直接お話しを聞くのが一番ですね。
秋冬番茶の成分に注目
秋冬番茶について理解が深まったところで、ここからは秋冬番茶の成分について、竹内さんからのご回答と東京都茶協同組合の記事から記載します。
秋冬番茶は組合記事にもあるように有効成分が注目されています。
秋冬番茶は太陽の光をたっぷり浴びているためカフェインが少なく、カテキンやビタミンが豊富!
加えて、ポリサッカライドという成分も多く含まれているそうです。
ポリサッカライドとは多糖類の一種で、湯ではなく水出しで血糖値の上昇を抑えるという効果があります。
よし!飲んでみよう!
竹内さんから今回お話しを聞いた中で、秋冬番茶は鹿児島・宮崎・静岡で生産されているとお伺いしました。
産地へ直接行くことができなくても、現代ではインターネットが普及して画面上のボタンクリックで商品購入できる!私も購入して飲んでみました。
秋冬番茶のことをインターネットで検索したり、実際に商品としてどんな感じで販売されているのかな~、買った方の感想はどうかな~と見ていたところ、オンラインショップでのレビューの多さとその多くが良い評価であることに驚かされました。
「普段お茶を飲まないけど、秋冬番茶はがぶがぶ飲んでます!」とか、「飲みやすくて手放せなくなりました」などなど。
期待が高まりますね。
実際に購入し、しっかり水出し8時間…
容器を開けてまずフワッとお茶の香りがしてきて驚きました。
今までの冷茶はここまで香りが鼻に届くものはなかったような気がします。
香りの広がりに驚きつつ飲んでみると、味はあっさりスッキリ!
後味もサッパリ爽やかでこれは確かにゴクゴクと飲めます!
ご飯の時に一緒に飲んでも、食べ物の味を邪魔せず、お茶の苦味や渋みが苦手な人でも飲めるんじゃないかな?と思います。
飲みやすく健康にも良い、血糖値上昇も抑える・・・飲んで損のない秋冬番茶を今回知ることができてとても嬉しいです。
と同時に、私のお茶知識はまだまだだな・・・と認識する良い機会にもなりました。
生活への取り入れ方
今回自分で調べたり、竹内さんへお話を聞いて知識を得た秋冬番茶。
秋冬番茶は水出し茶にすることでさらにカフェインを抑えられるので、カフェインの摂取をなるべく控えたい方にもオススメです。
先述したようにポリサッカライドも多く含まれているので、血糖値の気になる方もぜひ生活に取り入れてみてください。
ポリサッカライドという成分は熱に弱いので、やはり水出し茶にして飲むことがおすすめされています。
まだまだ残暑の厳しい日が続きますので、ご自身の生活習慣に合うお茶の取り入れ方で暑い日を乗り越えていきましょう!
竹内ひさ代 氏 – (有)若葉園取締役
東京都出身。
下町日暮里で「まちのお茶屋さん」として日々精進中。
日本茶インストラクターとして各種セミナーのほか、日本茶カフェの教育等アドバイザーを務める。
また、お茶関連の書籍、マスコミ等の取材等にも多数参加。
・日本茶インストラクター 一期生
・全国茶審査技術競技大会 6段位取得
・H17全国茶審査技術競技大会 全国4位入賞
・全日本茶商クラブ 日本茶販売アドバイザー 二期生
・日本茶鑑定士 一期生(H21取得)(日本茶鑑定士協会幹事)
・日本茶セミナー「1899ティーカレッジ」講師
・NHK夜ドラ「褒めるひと褒められるひと」煎茶指導ほか