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煎茶道を体験してきました!|1899 CHACHACHA BLOG

2022/08/13 一服のお茶のような話 森田輝

煎茶道を体験してきました!|1899 CHACHACHA BLOG

多くの方が‟茶道”の言葉から「抹茶を使った抹茶道」をイメージするかもしれませんが、実は煎茶を使用したお点前をする「煎茶道」も茶道のなかの1つ。

今回のブログでは、煎茶道の成り立ち、そして煎茶道の師範を招いて開催した煎茶道のお点前体験記をお伝えします!

煎茶道の成り立ちとは

まずは、煎茶道の成り立ちを紐解きましょう。

煎茶道とはどのようなものか。ずばり簡単に説明すると、‟急須等を用い、煎茶を使用してお点前をする茶道”を指します。

さて、煎茶道の成り立ちを語るには、抹茶道の歴史がキーポイントになります。抹茶道は、戦国時代に千利休により大成されます。抹茶道は禅の思想に基づいていましたが、時の権力者である織田信長や豊臣秀吉などが重んじたことで、当時の茶会は自らの高価な茶道具を見せびらかすような大名の権力の大きさを誇示する意味合いの強いものとなっていました。

それは、江戸時代になっても、以前のまますっかり形式的なものに。そんな権力と結びつき、いたずらに高価な茶道具を見せびらかせる当時の抹茶道のあり方に異議を唱えたのが、黄檗宗(おうばくしゅう)の僧であった高遊外(こうゆうがい)でした。

高遊外は「茶銭は黄金百鎰(いつ)より半文銭までくれしだい。 ただにて飲むも勝手なり。ただよりほかはまけ申さず(訳:煎茶の代金は小判二千両から半文までいくらでも結構。ただで飲んでもOK。ただより安くはできません)」という独特のスタイルで煎茶を売り歩き、それまで上流階級に嗜まれていたお茶を庶民にも広めていきました。

高遊外に由来する精神は後の時代にも受け継がれ、江戸時代末期から明治時代にかけて煎茶の大衆化・体系化が進展し、今日の煎茶道へと進化を遂げたのです。※1

煎茶道のお点前に参加してきました!

さらなる日本茶の知識獲得のため、煎茶道の先生を招いて煎茶道のお点前を体験しました。今回お点前をしていただいたのは、黄檗煎茶道の流れを汲む「煎茶道静風流同門教授会の佐藤 純子氏」。

当日は、CHAYA 1899 TOKYOで開催。お点前の方式は「立礼式(りゅうれいしき)」で行っていただきました。立礼式とは、いわば‟テーブルと椅子を使用したお点前”のこと。写真のように、ホストである席主(せきしゅ)も、お点前をいただくゲストも席に座ります。煎茶道の成り立ちから「形式にとらわれずに日本茶を楽しむ」という考えの一端が見受けられたような気がしました。

先生によってお茶が淹れられる際には、先生の細かな手の動きと茶器の扱い、指の先まで意識した美しい所作が披露されました。その場には、ぴんと張り詰めた心地よい雰囲気が感じられました。

煎茶道のお点前体験のなかで驚いたことは、煎茶道のお点前で使用する茶道具の種類の多さ。今回は、計約25種類の茶道具が使用されました。先生からは「それぞれの茶道具に意味があり、お客様のおもてなしに必要なものである」ということが語られました。

感銘を受けたのは、道具でも季節を重んじること。煎茶の量をはかる茶計(ちゃけい)という茶道具の焼き模様や、お茶を淹れる茶碗の柄にも、その時々の季節を採り入れたものでした。

今回の会場には扇面と季節の花が飾られました。お茶や茶菓子だけでなく、皆が集う会場の雰囲気を作ることに気を配るところにも、おもてなしの心が現れます。その一杯のお茶をいかに楽しんでもらうために、その招いたお客様の心を高めてもらうために、そんな想いが伝わるような気がします。

先生の美しい所作に釘付けになっているとお茶が完成。

先生が淹れたお茶は、茶菓子と一緒にいただきました。6月の実施だったため、振舞われたお茶菓子は6月の旧暦名がついた「みなづき」。甘みのある茶菓子と一緒にいただくことで、口の中に微かに甘みが残り、よりお茶が美味しくいただけるとのこと。

茶菓子を口に運びつつ、お茶を啜ると、それまでに続いていた緊張感が解け、とても和やかな心持ちに。これが煎茶道の醍醐味なのかなと思ったりしました。

私自身、美味しいお茶を淹れることにこだわり、学んできましたが、今回の煎茶道の体験を通して‟新たなお茶の良さ”を発見できました。

なんだかお茶は「ゆるやかな時間と心のゆとりを与えてくれるもの」ではないかと私は思えるのです。待つ時間も、少しづつお茶を嗜む時間も、日々の雑念から逃れられ、自分自身の心と向き合えるもの。

ぜひ、皆さんも、こんなお茶の時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

お茶をコンセプトにした1899ブランド

寛ぎの時間を彩る存在として日本が大切にしてきた日本茶文化。そんな日本茶をコンセプトにしたブランドが1899です。

また、レストラン、ホテル、カフェにはお茶に詳しいスタッフ‟茶バリエ”が在籍し、皆さまにお茶の魅力をお伝えします。

RESTAURANT 1899 OCHANOMIZU
「茶を食す」をコンセプトに、お茶と旬の味覚を掛け合わせて生まれる創作茶料理を提供するレストラン。和食料理人が仕立てる‟創作茶料理”をご賞味いただけます。


RESTAURANT 1899 OCHANOMIZU
公式HP

HOTEL 1899 TOKYO
日本のお茶文化とホテルのおもてなしを合わせた、1899ブランドのホテルです。お茶と共に過ごすゆるやかな時間 伝統とモダンが入り混じる空間であらためて触れる、お茶のある時間の豊かさ。ゆるやかに流れるその時を、どうぞ五感で感じてください。

HOTEL 1899 TOKYO
公式HP

CHAYA 1899 TOKYO
「街の茶屋で、ゆるやかな時間を日常に。」がコンセプトの日本茶専門カフェ。店内では、全国のお茶どころから厳選した上質なお茶や、お茶を使ったスイーツなどをお楽しみいただけます。

CHAYA 1899 TOKYO
公式HP

※1
【参考】
公益財団法人 世界緑茶協会 煎茶道の歴史’
一般社団法人 佐賀市観光協会 高遊外売茶翁 ~日本に煎茶を普及させた文化人~