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長持ちの、ヒケツ|1899 CHACHACHA BLOG

2021/09/18 ゆるやかな時間の話 ナンゴウ

長持ちの、ヒケツ|1899 CHACHACHA BLOG

長持ちする「モノ」

皆さんが、長く使い続けているものにはどんなものがありますか。

靴や腕時計、アクセサリーや眼鏡などのように毎日身に着けるものから、万年筆やカメラ、自転車や車などの趣味のお供、はたまた傘や花瓶、お弁当箱にお皿など、生活雑貨や日用品と呼ばれるものまで、人によって本当に様々な答えが出てきそうですね。

言われてみると、もう何年も、もしかすると10年や20年、同じ物を使い続けているなぁ、と思い当たるものが、どなたにもあったのではないでしょうか。

多少壊れたり傷や汚れが付いたりした時、買い替えてもそれほど高いわけではないけれど、そう簡単には新しい物と替えてしまわずに、今あるものを直したりお手入れしたりしながら使い続ける…。そんな「モノ」について今日は少し考えたいと思います。

自分の「モノ」にワクワク

さて、先程の質問ですが私は保育園のころから20年以上使っているはさみと、高校時代から10年以上使っているマグカップのことを頭に浮かべていました。

兄弟が多く家ではなんでも皆で共有して使っていた時代に、保育園のお道具箱に入っているハサミには「なんごう けいしゅ」と名前が書いてありました。これは私だけが使える道具、とワクワクしながら使っていたのを覚えています。そんなはさみは、子ども用なので指を入れる穴も小さいのですが、小中高そして大学・社会人になった今でも無くさずに使い続けています。

マグカップのほうはというと、高校一年生のとき初めての海外でフランスにホームステイをしに行った際、最後の夜にホストマザーがプレゼントしてくれたものです。お別れの寂しさとギフトへの嬉しさが相まって、涙しながら受け取った記憶があります。

正直なところこれまで幾度となく床に落としてしまったことはあるのですが、頑丈なお陰で、そして毎回「割れないで!」と強く願っているのが通じているのか(笑)、ヒビ一つ入らず今でも使い続けられています。

ホストマザーの手料理が大好きでした

どちらもこうして考えてみると、自分の思い出や感情とともに在るモノが、当然といえば当然ですが長持ちしているようです。もちろん、そのモノ自体の丈夫さや機能性も長持ちには必要な要素かと思うのですが、それすらも、大切なものなら大切に扱うはずですし、多少機能性が悪くても自分がその使い勝手にむしろ慣れていくもので、結局長持ちの本質は「想い」なのかなと思い至りました。

大切な「モノ」にかける時間も大切に

私の大切なモノについてもう一つだけ小話を。

昨年、卵焼き器を新調しました。新調と言っても、もう買い替えは恥ずかしながら4回目か5回目です。ご飯を作るのも食べるのも大好きな私なのですが、調理器具にはそれほどこだわりが無く、フライパンや卵焼き器なんかはホームセンターで程よく安くて程よく使い勝手の良さそうなものを買っていました。ただ何回買っても一年もすればコーティングが剥げてくっつくようになるので、もう調理器具は消耗品と思うようにしていました。しかしやはりそうやって適当な気持ちでモノを買うと扱いも雑になって、尚更すぐにだめになるものです。

そんな中、去年のステイホーム期間、断捨離にハマった時に調理器具も見直しをし、「卵焼き器、くっつくようになったしそろそろ買い換えようかな」と考えた時、せっかく時間があるならお手入れが多少面倒でもいいからプロが使うようなものを買ってみようと思いつきました。

ネットショップでじっくり選んだ末に買ったのは、鉄製で、表面に加工がなく、木製の取っ手がついた卵焼き器です。使う前には空焼きをして、少し冷ましてから三分の一くらいの深さまで油をたっぷり注ぎ、しばらく加熱してから余分な油を捨て、キッチンペーパーで内側を拭いて…と卵を流し入れるまでの工程が長いのですが、何回使っても気持ち良いほどするんと卵が転がせて、卵焼きが綺麗に作れるので、毎回この準備にかける時間も楽しんでいます。まだ使って一年ですが、きっとこれは長持ちするだろうなと確信している大切な「モノ」です。

長持ちのヒケツ

そんなことを考えながら、日本茶インストラクター竹内氏へのインタビューブログを読んでいたら、“極端に安ものではなく、気に入ったものの方が大切に扱うので、結果的に長持ちする”とのコメントがあり、(やっぱり!)と納得がいき嬉しくなりました。

モノを長持ちさせるためのヒケツは、それを手に入れるまで、そして手に入れた時の「想い」を大切にすること、というお話でした。CHACHACHAブログでも、これまでに急須や茶こしなど様々な茶道具をご紹介してきました。私たちはそれぞれの道具の美しさや機能性、作り手側の思いなどをご紹介しておりますが、買いたいなと思ったときにはぜひワクワクしながら、それを手に入れたときの自分の感情を想像しながら、選んでみてはいかがでしょうか。そうして選んで手に入れた「モノ」はきっと、長持ちすると思います。