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若者、急須の素晴らしさに気づく|1899 CHACHACHA BLOG
2021/04/10 一服のお茶のような話 hikaru no CHA
若者の急須離れ
皆さんのご自宅には、急須はありますか。世間では「若者の急須離れ」という言葉が、ちらほらと聞こえたりします。それもそう、20代後半の私も振り返れば、1899ブランドに所属するまで急須に触れたのは小学生の頃の家庭科の授業ぶりでした。ただ、一方で、日本茶はいつも身近にあって、外出しているときには自販機でペットボトルのお茶を買ったり、カフェでは抹茶ラテを飲んだり。そのように深く考えてみると、つまりは「急須を使って日本茶を淹れることがない」のだということに気づきました。
若者、急須の素晴らしさに気づく
まるで自身の生活の外にあった「急須」。ただ、1899ブランドに所属して急須に触れていくうちに、また日本茶のことを知っていくたびに、だんだんと急須の素晴らしさに気づきはじめました。
まずはじめに魅了されたのが‟デザインと機能美”。写真の急須は、注ぎ口に対して持ち手が横に付いている「横手急須(よこてきゅうす)」。ヨーロッパ、中国などでは後ろに持ち手が付く「後手」が主流なので、その特異性から海外では「ジャパニーズ ティーポット」とも呼ばれるそう。確かに、あらためてまじまじと見ると、なかなか異形なフォルムデザインではないでしょうか 笑。しかし、唯一無二の丸みを帯びたフォルムは手に馴染み、胴体から伸びた注ぎ口からはお茶を垂らさずに切れ良く淹れられるのです。
三重県四日市市の南景製陶園の急須
急須「鉄鉢 黒練」
こちらの急須は
「1899オンラインショップ」からご購入できます。
そして、次に“急須が持つ歴史性”。横手急須の歴史はかなりの時を遡りますが、このような歴史性を感じられるモノは少ないのではないでしょうか。折角なので、そんな横手急須の歴史を簡単にご紹介しましょう。
横手急須の原型の形は中国の唐時代には存在していましたが、それは用途が異なる“湯沸し器”として使用されていました。江戸時代の日本にその中国の“湯沸し器”が伝来し、「急火焼・急尾焼・急備焼(きびしょう)」「急焼(きゅうしょう)」と呼ばれました。その後、それは庶民の間で“湯沸し器”から“茶を淹れる道具”に転用され、現代の煎茶の喫茶様式になったとのこと。
私はこのような古来から根付いた物を使用するとき、その当時のことも想像し思い馳せてしまいます。時代は進み変われど、現代に脈々と受け継がれてきた「急須の製法」「急須の形状」「急須で淹れる喫茶様式」に、どこか壮大さを感じ、親近感を覚えてしまうのです。
江戸時代 嘉永2年(1849年)出版の『煎茶訣. 上巻(深田精一 著)』
(出典:国立国会図書館デジタルコレクション)
右ページのものには「ユワカシ」、
左ページのものには「キビショウ」と記載されている。
現代のような急須として転用される前のものだ。
もちろん、“日本茶を美味しく淹れることができる実用性”も。繊細な日本茶は急須で淹れてこそ、より奥深い味わいや風味が現れてくると思っています。土を焼いて作られた陶器の急須は「耐熱性」「保温性」に優れているので長く温かいお茶を楽しめ、またその「吸水性」により渋味(カテキン)を吸着するので味をまろやかにもします。
何かと忙しい現代人には簡単に淹れられるティーバッグも良いですが、時間がある日には急須でより美味しく日本茶を淹れることも素敵です。
前述の急須「鉄鉢 黒練」は、陶器の急須。
釉薬(ゆうやく)をかけず、鉄分が黒く着色する方法で内外を焼き締めている。
若者へ贈る、「急須の扱い方」と「美味しいお茶の淹れ方」
若者の急須離れ。その理由は、急須の正しい使い方を詳しく知らないということも要因の一つではないでしょうか。そこで今回は「急須の扱い方」と、そして「美味しいお茶の淹れ方」をご紹介します。ぜひ、私のような若い方にも「おっ、急須はこのように扱うのか!」と発見を得て、そして「日本茶はこんなにも美味しいのね!」と感動していただければ嬉しいです。
①湯冷ましにお湯を注ぐ
ぐらぐらと煮立った約100℃のお湯を、まず湯冷ましに注ぎます。
Point
お湯は器へ移すごとに約10℃下がるので、この特性も利用しつつ茶葉を急須に入れるまで湯を冷まして、約80℃で日本茶を淹れます。90℃以上だと渋味成分(カテキン)が多く溶出し、渋味が強い日本茶になってしまいます。一方で、約80℃で淹れると渋味を抑えられて、旨味(テアニン)が多いお茶となります。また、使用する水は、ミネラル成分が少ない「軟水」が適しています。
写真は、南景製陶園の「切立 湯冷まし」
効率良くお湯を冷まし、
お湯をこぼすことなく急須へ移すことができます。
こちらの湯冷ましは
「1899オンラインショップ」からご購入できます。
②茶葉を入れる
次に人数分の適量の茶葉を急須へ入れます。
Point
2人分では茶葉4g 3人分では茶葉6g 5人分では茶葉10g が適量。しかし、1人で飲むときには、茶葉を4gほど多めに入れて‟しっかりとした味や風味”を楽しむのもオススメです。
③お湯を入れる
先程の湯冷ましのお湯を急須へ注ぎます。注ぎ終えたら蓋をして60秒程待ち(茶葉がl細かい「深蒸し煎茶」は30秒ほどでOK)、茶葉が開き浸出するのを待ちます。
④お茶を注ぐ
時間が経ったら、いよいよ湯呑みにお茶を注いでいきます。このとき、リズミカルに急須を前後に傾けては水平にし(この動作を‟急須の手返し”と言います)、急須の中の茶葉を揺らして、旨味・苦味・渋味を抽出していきます。最後の一滴には旨味が凝縮されていますので、急須の中にお茶が残らないように注ぎ切りましょう。注ぎきったら完成!
⑤完成です!
味だけではなく、お茶の色「水色(すいしょく)」を見たり、香りの繊細さや力強さを楽しんだりするのもまた一興です。
今後の急須のありかた
ところで、誰もが想定していなかった新型コロナウイルスの影響で、いままで当たり前であったことが当たり前では無くなりました。それに気づかされてなのか、最近では日本でも『SDGs』 がより注目されています。
この機会に大量消費的な自身の生活を見直して、その第一歩にペットボトルやティーバッグのお茶ではなく、
急須でお茶を楽しむのも良いかも知れません。
若者の皆さま、そんな意味でも急須は魅力的です。ぜひ、新生活に急須を添えてみては。
今回のブログに掲載されている急須や湯冷ましは、
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その他にも、1899こだわりの茶器もラインナップしています。
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