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‟新年始企画 おせちレストラン”開発秘話 | 1899 CHACHACHA BLOG
2020/12/05 一服のお茶のような話 hikaru no CHA
◆「おせちのブッフェスタイル」中止の危機
今年の4月7日。緊急事態宣言が発令され、レストランである1899も大きく揺れ動きました。
お客様の安全を確保するべく、それから数か月に及ぶ店休になりました。
感染症が収束することを信じ、なんとか未来へ目を向けて進んで行こうと、席数を減らしてソーシャルディスタンスを確保し、フットペダル式のアルコール消毒液を設置し、スタッフのマスク・手袋着用のルールを決めるなどをして、衛生対策の徹底が確認出来たあと、やっと7月1日に通常営業の再開が出来ました。
そんななか、大きな課題もありました。
毎年の年始に皆さまにご好評頂いている「おせちブッフェ」の企画です。
特設のテーブルに並べられたおせち料理が食べ放題という内容で、お客様からお褒めの言葉を頂戴したり、リピーターの方も多くいらっしゃる、毎年大人気の企画です。
従来の‟ブッフェ形式”では、お客様が料理前に集まって密が生まれて、それにトングの使い回しも衛生的ではありません。
そのため、ご好評頂いていたブッフェ形式の開催を諦めざるをえませんでした。
▲昨年度のおせちブッフェの料理テーブルの様子。お皿に盛り付けられたおせち料理をお好きなだけ楽しめました。
しかし、今年度もお客様に変わらずご満足頂ける‟年始の企画”を提供したい。
今まで「おせちブッフェ」に関わってきた当店の担当者たちの思いは、その一つでした。
◆難航する企画会議
どうしたら、ソーシャルディスタンスや衛生を確保しつつ、お客様に心ゆくまでおせち料理をご堪能していただけるのか。
5月頃から、レストランスタッフ、ホテルスタッフ、広報担当者、料理人など、社内部署を超えた担当者たちが集まり、オンライン会議で可能な限り意見を出し合いました。
「なんとか、ご好評頂いている‟ブッフェ”の形式を維持したいよね」
「ブッフェを維持するには、料理テーブルの前に飛沫防止シールドを設ければ良いのでは」
「でも、それではお客様が料理テーブルの前で密になってしまいます・・・」
などなど、かなり難航。
‟アイデアが生まれては課題にぶつかる”を2ヵ月程度繰り返していました。
そして、まだまだ経験の浅かった‟オンライン会議”が追い打ちをかけ、
「〇〇さんが突然画面から消えた!」
「すみません、ノイズがあって全く音声が聞こえないです」
「カメラ越しだと‟実際のお皿の大きさ”がわからない」
そんなことで、さらに苦労したのもよく覚えています。(今では慣れたものですが)
◆生まれ変わった年始企画 ‟おせちレストラン”
正月という季節柄もあり、ご家族、小さなお子様や大切な人とのご利用も多いイベントなので、当初より会議では‟安全安心の徹底”を大きなテーマとして掲げていました。そこでまずは、‟取り分けの必要が無い個食料理”のご案内方法を採択しました。
次に検討するべきは、取り分けの必要が無い個食料理の内容。皆で意見を多く交わすなか、ある担当者からアイデアが挙がりました。
「せっかくお一人様に一つずつご提供するのだから、おせちの重箱に料理を盛り付けてご提供するのはどうでしょうか。蓋を開けた時にお客様が‟わぁ~”と感動してもらえるものにできたら素敵ではないですか。」
それがいいね!!と満場一致で決定。
「お正月に相応しい美しく華やかなものにしよう」という料理人達の熱い思いも合わさり完成したのが、こちらのおせち20品を少量ずつ詰めたミニサイズの一人一重のおせちです。
▲おせち料理は、創業120年の会席料理で培った本格派で、約12日間かけて丁寧に仕込みます。海老、数の子、黒豆など、縁起物の食材を使った王道の正月料理もお楽しみいただけます。
そして今年も、お茶がテーマのRESTAURANT 1899 OCHANOMIZUならではの‟お茶おせち”もご提供します。
これまでのブッフェでは並べるとすぐ無くなってしまうほど大人気の「抹茶栗きんとん」もラインナップに。
サツマイモと栗の練りきりに抹茶を加え、鮮やかな緑色に仕上げた抹茶風味の栗きんとんです。
餡の緑と添えられた栗の黄色のコントラストの美しさもさながら、口に運ぶとほのかに香るお茶味が楽しい一品に仕上がっています。
インパクト抜群のお茶おせちで新年をお祝いするのも大切な思い出になるかもしれませんね。
▲写真左から緑茶を使用した「鶏の緑茶香り焼き」 / 和紅茶の香りの「牛の時雨の和紅茶煮」/お茶の香りで燻した「鯖の茶燻製」/抹茶入りのクリームを使用した「木の実の茶醍醐和え」/緑色餡の「抹茶栗きんとん」
1899の年始企画は沢山のご常連の方にも支持をいただいています。
これまでの‟おせちブッフェ企画”をご利用頂いたご常連の方にも変わらずお越し頂きたい、そのご期待にお応えしたい。
そんな思いも一同に強くありましたので、新たな形式を採用してブッフェを継続することになりました。
お料理を食べ足りない方は、お重箱の料理をお召し上がりのあと、テーブル設置の用紙で追加オーダーが出来ます。
(※追加オーダーが出来るのは「海老」と「いくら」を抜いた18品となります。)
ご常連の皆さま、ぜひ2021年もご来店をお待ちしております。
◆外出を控えている方にもお楽しみ頂きたい
会議が進むなかで“気がかり”なこともありました。
頭に浮かぶのは、毎年来店していただくご高齢の方や、小さなお子様連れのご常連の姿。
連日の報道を聞くなかで、感染症予防のために今年の年始は外出をお控えになるのではないかという考えに至りました。
そんな方にも、何か1899が年始をお祝いできるように提案できないだろうか。
その折、すぐに担当者たちから“おせちのテイクアウト”の案が挙がりました。
その案を料理人たちへ提案したところ「ぜひやろう!」の二つ返事で決定。
取り分け不要の個食のおせち重をテーマにして、レストランの厨房で仕込んだこだわりのおせち料理を詰め合わせた“1899謹製おせち”。価格は4,500円のお値打ち価格でご用意。このような大変な時期ではございますが、来店が叶わない方にお楽しみいただければ嬉しいです。
▲お料理内容は海老の姿煮やいくら、黒豆、数の子などの縁起物17品。うち2品は、人気の“お茶おせち”「抹茶栗きんとん」と「木の実の茶醍醐和え」を詰めました。2021年12月31日にRESTAURANT 1899 OCHANOMIZUでお渡しになります。
◆来る日に向けて
レストランスタッフの経験、ホテルスタッフの視点、広報担当者のアイデア、そして料理人の熱意があり、
担当者皆で‟面白い”、‟美味しい”、‟素敵”と思える商品企画を本気で作ろうという姿勢が功を制したのか、約8ヵ月の時間、数十回の会議と打ち合わせ、そして150通を超えるメールでの連絡を経て、私たちが自信を持ってお客様にご提供できる企画が完成したと思っております。
そして、皆さまのご期待により、12月31日お渡しの“1899謹製おせち”と、1月1日~3日に開催の “おせちレストラン”は、多くのご予約をいただきました。
今現在も、来る当日に向けて、お客様にご満足頂けるよう担当者全員で準備にとりかかっています。
ぜひ、RESTAURANT 1899 OCHANOMIZUの‟おせちレストラン”にご期待下さい。