1899 CHACHACHA Blog
【BLOG】お茶がダイアモンドを越える瞬間
2019/01/31 一服のお茶のような話 水野豊
少々、大袈裟なタイトルですが、「東京マラニック2019~お茶deラン~」での実体験です。
要は「空腹こそ最良のスパイス」という言葉にある通り、お茶にとっての最良のスパイスとは何か?という話です。
マラニックとは、”マラソン”と”ピクニック”を掛けた造語で、
周辺の景色を眺めながら、時々会話を楽しめる程度の速度で、タイムや順位などは気にせず、「ゆるやかに」走り、ご褒美に食事なども組み込んだ娯楽性の高いマラソン。
1月12日に、ホテル1899東京のお披露目を兼ねて、「東京マラニック2019~お茶deラン~」イベントが行われました。
約30名の健康的で、走るのが大好きな皆さんに参加いただき、
走るフードコーディネーター 川崎泰代さんの先導でスタート。
私は下見も兼ねて試走したコースなので景色を知っている筈なのですが、
約30名のパーティで走ると壮観で、違うパーティで走ると違うコミュニケーションが生まれ、また違った景色に見えるから、新鮮であり、不思議な感覚です。
そういえば、東京の景色は普段は車で通り過ぎたり、地下鉄でスルーしたりで、何気ないのだけど、
改めて見ると、何だかおもちゃ箱をひっくり返したようで全然飽きません。
個人的に暗雲が立ち込み始めたのは、とにかく寒かった。。。
当日は凍てつくような寒さで、寒さを通り越して顔が痛い。
身体はある程度、走っているから温かいのだけど、顔が痛い、涙がちょちょぎれる、鼻水が揺れる、耳の感覚がない。
自然と無言になるので、余計に寒いという負のスパイラル。
今思うと、途中から相当に怖い形相で走っていたのではないかと皆さんの伴走者として最低だったと反省しています。
救われたのは、中間の休息地点です。
六本木の「紺碧の海」で供された江戸番茶と浮き星というアラレです。
江戸番茶は、二条麦と三種のほうじ茶をブレンドした1899オリジナル組茶。
浮き星は、お湯にぷかぷか浮かぶ、金平糖のようでそうでない、かわいらしい新潟の伝統的なお菓子。⇒浮き星の紹介ページへ
正に「番茶も出花」です。
熱々の淹れたての香り高い番茶に、ゆらゆらとした浮き星の見た目、口に含むと香ばしい旨み、ほんのりと優しい甘味が加わり、心と身体に染みる美味しさで本当に癒されました。
不思議なことに失いかけていたパーティのコミュニケーションも自然と戻り、後半戦は、雪が結構降りしきる中、和気あいあいの雰囲気のまま、笑顔でゴールしました。
ホテル1899東京のスタッフが準備して待っていてくれて、マラニック後の食事会もさることながら、この休息地点が最高のおもてなしでした。感謝!
この時の感動を文章にしてみると、私の文章力の稚拙さもあって、意外にありきたりなのですが、
思い出したのが、私の友人のジュエリーデザイナーの言葉です。
「ジュエリーの本質は、それを持つ者の記憶や思いの象徴であり、
貴金属の価値などの経済合理性ではなく、それを得るシーン、背景こそが大切である」
砂漠における水とダイアモンドの価値(限界効用)と同じく、お茶にも、その価値が何十倍にも輝くシーンがあるということです。
それは、時間を共有したものにしか解らない価値です。
お茶のある「ゆるやかな時間」の価値とは、貴方にとって希少な時間と同義であり、
その前後のアプローチ、一人で過ごすのか、気の置けない誰かと愉しむのか、希少な時間の共有にこそ「おもてなし」にあるのかな、と思う瞬間でした。
何故か、その3日後に太ももが筋肉痛になったのはご愛敬ですが。。。
了