当ウェブサイトを快適にご利用いただくためクッキーを使用します。詳細の確認

1899 CHACHACHA Blog

     

お茶に合う食べるカレンダーって?|1899 CHACHACHA BLOG

2020/06/06 ゆるやかな時間の話 清水翠

お茶に合う食べるカレンダーって?|1899 CHACHACHA BLOG

6月に入り、しっとりと雨が濡らす季節になりましたね。

皆さんはお家でお茶を飲むとき、お茶請けのお菓子は和菓子派ですか?それとも洋菓子派ですか?

私は断然、和菓子派です。お茶のお稽古を始めてからはすっかり和菓子派になりました。

 

お茶のお稽古を始めてみて、恥ずかしながら知ったこと。それは、お茶とともに頂く和菓子が季節によって変わることです。

色や絵柄を用いて四季を表現した和菓子や、涼感やぬくもりが感じられるような素材を用いた和菓子、その時期にしか出回らない季節の食材を使用した和菓子もあります。

春は柔らかいピンク色の桜をイメージしたもの、夏はつるりとした水羊羹や葛餅。

秋には橙色が鮮やかなころんとかわいい柿の練り切り、冬には新年を祝う花びら餅などなど・・。

まるで「食べるカレンダー」のようです。

手のひらほどの小さな和菓子ですが、職人によって繊細な細工が施され、一つの美しい世界観が作られています。

まさに日本が誇る職人の技ですね。

私にとって、お茶菓子は茶道の楽しみの一つでもあります。

見た目でも季節を味わうという和の心には、日本らしい風流さを感じます。

 

つい最近までは出かけることができず季節の移り変わりがあまり感じられなかった、という方も多いのではないでしょうか。

そんなときにはお家でのお茶の時間を、季節が感じられる和菓子とともに楽しんでみてはいかがでしょうか。

もちろん、今の時期にぴったりの和菓子もあるんですよ。

 

【水無月】


水無月はぷるんとした白色のういろうの上に、甘く煮た小豆を乗せて固めて、三角形に切り落とした和菓子です。

「水無月」というのは旧暦での6月を表す呼び名ですね。

発祥の地京都では、こちらの和菓子を6月30日に食べるというのが慣例になっています。

なぜ6月30日と、ピンポイントなのでしょうか?

実は、6月30日は「夏越祓(なごしのはらえ)」という神事が行われる日で、一年の折り返しとなる6月30日に半年の罪や穢れを払い落し、残り半年の無病息災を祈る行事です。

下のういろうと三角形の形は、かつて宮中の人々が暑さに耐えるため口にしていたという氷室から取り寄せた氷を意味し、小豆はその赤い色から魔よけの意味が込められています。

パワーが感じられる和菓子ですね。この「水無月」にあやかって、いつも無病息災でありたいものです。

 

気になったので和菓子の歴史も調べてみました。京都で茶の湯の文化が発展した頃にはすでにお茶と供にお茶菓子を頂く文化があったようです。

しかし、その時代のお茶菓子はまだ今のようにお砂糖を使ったものではなく、焼いた栗や干し柿、木の実といったものが一般的だったようです。というのも、この時代、日本にはまだお砂糖が普及していませんでした。また、お茶の苦味を引き立てるために甘いお茶菓子を頂くというようなものではなく、お茶による胃への刺激を和らげることが目的でした。

その後、南蛮貿易を通じてお砂糖が日本に伝わり始めたのは、安土桃山時代。そこから少しずつ身分の高い人々の間で今のような和菓子の原型が食べられるようになっていきました。その後、江戸時代の後期には一般の人々の間でも親しまれるようになりました。こういった流れで、お茶と和菓子の良い関係は続いてきたのですね。

ちなみに、私たちが普段よく飲用する茶葉から抽出する形式のお茶は、鎌倉時代~戦国時代から始まったそうですよ。その頃は番茶がよく飲まれ、「煎じ物」とよばれていたそうです。

 

何百年も前から続くお茶と和菓子の関係の深さには驚かされますね。

和菓子の歴史や和菓子が映す日本の季節感を知ると、和菓子がもっと美味しく感じられるような気がします。

今の時期にぴったりの簡単に手作りできる和菓子は無いものか・・・とググってみたところ、「琥珀糖」という和菓子のレシピを見つけました!

琥珀糖というのは、江戸時代に考案されたお砂糖と寒天を使った伝統的な和菓子だそうです。

ステイホームでお菓子作りに目覚めた皆さん、この機会に手作り和菓子はいかがでしょうか?

実際に私も作ってみました。その際の動画がこちらです。

 

 

●琥珀糖のレシピ

水200ml

上白糖300g

粉末寒天4g

食紅(かき氷シロップなどでもOKです。今回は実験的に野菜で色を付けてみました)

完成した写真がこちらです!思ったよりも色が薄づきになりました。

 


 できたてはぷるんとしたやわらかい羊羹のような食感ですが、1週間かけてじっくりと乾燥させると、外側がシャリっとした食感になって違いが楽しめます。

今回は紫色が上手く発色しなかったというハプニングがありましたが、完成するまでどのようになるのか、わくわくしながら待つことができてとても楽しかったです。

表面の様子が少しずつ変化していくのを見る度に、出来上がるまでが待ち遠しく感じました。

手作りのものって愛着が湧きますね。

色を変えてみたり、味や香り加えてみたり、好きなようにアレンジができるのもまた手作りの良いところです。

次回作るときは、少し洋風にドライフルーツやジャムで味をつけてみたり、紅茶や抹茶など水色がはっきりしそうなお茶で色をつけてみるのも良さそうだと思いました!

 

皆様のご自宅でのお茶タイム、ぜひ季節を味わいながら美味しいお茶とゆるやかな時間をお楽しみいただければと思います。

 

P.S

レストラン1899お茶の水CHAYA1899TOKYOは7月1日(水)より営業を再開致します。

スタッフ一同皆様をお迎えできることを楽しみに準備をしています。

爽やかな季節にぴったりの新メニューも近々発表予定ですよ!楽しみにお待ちください。

お近くにお越しの際は、ぜひお店にいらしてくださいね。